暑さでスウェーデン最高峰の山に異変 一体なにが?
ケブネカイセ山とは…
スウェーデンの最高峰ケブネカイセ山で、史上初めての現象が起きています。
ケブネカイセ山はスウェーデンの北端に位置し、2つの主要な峰を持っていることで知られています。南の頂は氷河に覆われている一方、北頂は氷がなく岩が見えている状態で、通常は南頂の方が北頂よりも標高が高いのです。つまり、南頂が国内最高峰とされています。
国内最高峰の陥落
ところが今月3日に、ストックホルム大学のロスクビスト教授らが標高を調査したところ、氷河が解けたため、南頂の標高が史上最低となる2095.6メートルに下がっていることが明らかになりました。
これは2096.8メートルの北頂よりも1.2メートル低かったことになり、国内最高峰としての地位を失うこととなりました。
このように2つの峰の標高が逆転したのは、1880年に観測が始まって以来初めてのことです。
下がり続ける南頂の標高
標高が逆転したのは初めてのことですが、南頂の標高が下がるのは、なにも今に始まった話ではないようです。
実は過去50年間で24メートルも標高が低くなっており、ここ10年間に関しては毎年1メートルの割合で下がっているといいます。
背景は夏の記録的猛暑
北頂と南頂の標高が逆転した一因は、今年の夏の記録的暑さがあります。
平年を20℃も上回るような熱波が幾度もヨーロッパを襲い、フランス、ドイツ、オランダ、ベルギーなどの7か国では国内史上最高気温を記録しました。
一方のスウェーデンでは、北極圏に位置するマルクスビンサという町で気温が34.8℃まで上昇し、これが同国の北極圏の記録としては観測史上最も高い気温となりました。同地域では高温と晴天が続いて、制御不能なほど大規模な森林火災が発生しました。
こうした記録的な暑さの影響で、南頂ではこの夏の29日間で4メートルの雪が消失したと、Forbesは伝えています。
再び逆転も…
おそらく冬になれば雪が積もって、また南頂が国内最高峰に返り咲くことでしょう。
しかし北極圏の昇温傾向は、地球上のどこよりも速いスピードで進行していることがわかっています。しばらくの間は夏が来るたびに、頻繁にこの逆転現象が見られることになりそうです。しかし、そう遠くない将来に、真冬でも北頂が最高峰となる日が来てしまうかもしれません。
この北頂と南頂の標高バランスは、まるで温暖化の進行度合いを示すバロメーターのように見えるのです。