40年近くにわたる年齢階層別成人喫煙率の実情(最新)
国内外を問わずたばこの喫煙率は、特に先進諸国において減少傾向にある。また禁煙の啓蒙活動も盛んに行われている。とはいえ今なお多くの人にとってたばこは重要な嗜好品に違いない。今回は厚生労働省が2024年8月に発表した定期調査「国民健康・栄養調査」(※)の最新版となる2022年分における概要報告書をはじめ、過去の国民健康・栄養調査の結果も合わせ、日本における最新の喫煙率状況を中長期的な流れで把握できるグラフを作成し、喫煙率の状況を確認する。
今回発表されたデータは2022年分。その値も含め、さかのぼれる最古の値の1986年以降版、そしてもう一つ、最近の動きがよくわかるように取り扱い範囲を2001年以降に限定した版が次のグラフ。
最新となる2022年分を反映させたが、1年分の追加で全体的な状況が変わることはなく、
・男性は減少傾向。ただし60代以降は減少の動きが緩やか、さらには横ばいに移る気配を見せている。70歳以上ではここ10年ほどの間は事実上横ばい。
・女性は若年層から中年層にわたり、しばらくの間はむしろ増加傾向にあった。2005年前後あたりからようやく減少に転じる形に。一方で60代は2010年ぐらいから増加、70歳以上は横ばいの動きを示している。
などの傾向が見られる。
上記グラフでは分かりにくい部分もあるが、ここ数年に限ると、男女ともに若年層~中年層の喫煙率の減少の気配が見受けられる。他方高齢層は横ばい、一部では増加の気配すらある。今件は喫煙者数ではなく喫煙率であり、高齢層人口の増加との直接的な関連性は無いが、注視すべき動きには違いない。
一部の年齢階層で喫煙率の減少に足踏み感、さらに増加の動きが見えるのには大いに留意が必要である(もっとも、直近2022年ではほとんどの属性において、前回調査比で減少しているが)。人口比では高齢層の方が多い以上、その層で喫煙率が減少しなければ、今後全体の喫煙率も横ばい、さらには上昇を示す可能性が出てくるからだ。
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※国民健康・栄養調査
健康増進法に基づき、国民の身体の状況、栄養素など摂取量および生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的とするもの。調査時期は2022年11~12月中。今回調査分では調査実施世帯数は2910世帯で、調査方法は調査票方式。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。