開幕まで、あと4日。FIFA U-20女子ワールドカップに臨むヤングなでしこへの期待(2)
パプアニューギニアで、11月13日からFIFA U-20女子ワールドカップが開幕する。
世界一を目指す今大会のU-20日本代表(通称:ヤングなでしこ)はどんなチームなのか。
〜前編〜
【FIFA U-20女子ワールドカップがいよいよ開幕】
【A代表が強いチームに共通することとは?】
はこちら
【U-20日本女子代表の強みとは?】
今大会も、ドイツとアメリカは優勝候補の筆頭として日本の前に立ちはだかる。
加えて、世界の女子サッカーの発展は目覚ましく、欧州各国でも育成年代のレベルは上がってきている。
以前も書いたように、欧米各国はこの年代特有の身体的な成長により、U-17ワールドカップ時に比べると、個のパワーやスピードが著しく成長する。また、戦術理解度も上がり、チームとしての組織力はより強固になる傾向がある。
だが、このハードルは、今のU-20日本代表にとっては決して超えられないものではなく、自信を持ってチャレンジできることと言える。実際、8月のドイツ遠征でのU-20ドイツ代表との親善試合では日本が1−0で、勝利を収めている。試合内容も終始、日本がボールを支配し、優勢に進められた。
今大会のチームの強みを考えると、まず、「継続的に試合に出ている選手が多いこと」だ。
「今大会に選んだ選手たちは、なでしこリーグの1部、2部を含めて、試合に出ている選手が非常に多いです。今までU-20の選手は、高校を卒業した後になでしこリーグのチームに入ってもなかなか試合に出られず、そんな中で招集することが多かったのですが、今回は選手たち自身が非常に意識を高く持って、各チームで力をつけてきています。その中で、判断のスピードとプレーのスピードが上がってきています。」(高倉監督)
なでしこリーグ1部からは14人が選ばれたが、今季リーグ戦で優勝した日テレ・ベレーザの隅田凜、籾木結花、長谷川唯をはじめ、ほとんどの選手がシーズンを通してリーグ戦に出続けた。2部や大学から選ばれた選手も、全員が主力としてチームをけん引するエース級だ。
試合に出ていることで養われる感覚について、大部コーチはこう話す。
「コンスタントに試合に出ていることでコンディションも上がってきますし、公式戦で68m×105mのコートがどう使われるかという感覚や、90分間の試合の流れをつかめることも大切です。その点は、このチームの強みだと思います。」
また、「2チーム分作れる」(高倉監督)選手層の厚さも強みだ。
練習の紅白戦では、Aチーム(主力)とBチーム(サブ)と分けることなく、毎回組み合わせを変える。それは、男子高校生との練習試合や海外遠征での親善試合などでも同じで、徹底していた。結果、あらゆる選手同士が、どの選手とでも良さを引き出し合える、理想的なチームになりつつある。
「誰かが欠けたら弱くなるチームが嫌なんです。欠かせない選手はいるんですが、その選手がいなくなったらそのチームがダメになるのではいけないと思うし、いろんな選手にチャンスを与えて、いろんなポジションを試したい。その結果、みんながチャレンジして、みんなに可能性があって、みんながその気になって、みんなが上のレベルに上がっていってほしいです。でも、競争はあるから簡単にレギュラーはあげられないです。そのつもりで選手には競争してもらいたいですね。」(高倉監督)
高倉監督がチームを率い、世界一になった2014年のU-17ワールドカップは、6試合で21人全員を起用し、21人中19人が先発に名を連ね、DF4人を含む12人がゴールを決めた。
今大会でU-20代表はどんな戦いぶりを見せてくれるのだろうか。
現地パプアニューギニアの熱狂とともに、このチームの戦いぶりをお届けします。