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意外!? 300セーブに到達したチャップマンはセーブ王もシーズン40セーブも皆無。他の達成者たちは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
アロルディス・チャップマン(ニューヨーク・ヤンキース)Aug 26, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月26日、1点差の9回裏に登板したアロルディス・チャップマン(ニューヨーク・ヤンキース)は、走者こそ出したものの、得点は許さずに試合を締めくくり、史上31人目の通算300セーブに到達した。

 チャップマンは、リーグ最多のセーブを記録したシーズンが一度もない。ア・リーグのヤンキースとナ・リーグのシカゴ・カブスで計36セーブの2016年も、両リーグのトップ10に入らなかった。もっとも、通算300セーブ以上を挙げながら「セーブ王」のタイトルを手にしていない投手は、少なくない。チャップマンを含めて10人なので、ほぼ3人に1人だ。通算セーブのトップ10に限っても、6位(422セーブ)のビリー・ワグナー、8位(377セーブ)のジョー・ネイサン、10位(368セーブ)のジョナサン・パペルボンが、タイトルとは無縁だった。

 また、チャップマンは、40セーブ以上のシーズンもない。シンシナティ・レッズ時代の2012年と2013年に記録した、38セーブが最多だ。ヤンキースでは、2019年の37セーブが最も多い。こちらの人数はそう多くなく、チャップマンの他には、5位(424セーブ)のジョン・フランコと14位(341セーブ)のローリー・フィンガース、26位(310セーブ)のリッチ・ゴセージの3人だ。通算300セーブ以上の31人中、「セーブ王」とシーズン40セーブ以上のどちらも皆無は、チャップマンしかいない。

筆者作成
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 とはいえ、今シーズンはともかく、チャップマンが2010年代におけるエリート・クローザーの一人だったことは間違いない。このディケイドに挙げた273セーブは3位(最初の2シーズン、2010~11年は計1セーブ)。セーブ成功率89.5%も、30セーブ以上の111人中3位だ。救援300イニング以上の124人中、奪三振率14.84は1位、被打率.160は2位、防御率2.23は3位に位置する。

 ちなみに、2010年代に346セーブのクレイグ・キンブレル(現シカゴ・ホワイトソックス)は、成功率90.3%が1位、奪三振率14.61が3位、被打率.157が1位、防御率2.08は2位。301セーブのケンリー・ジャンセン(ロサンゼルス・ドジャース)は、成功率88.5%が6位、奪三振率13.29が5位、被打率.178と防御率2.35は4位だ。

 もちろん、チャップマンは、これからタイトルを獲得し、1シーズンに40セーブ以上を挙げてもおかしくなく、そうならなくても、素晴らしいキャリアであることに変わりはない。現在のチャップマンの年齢は、キンブレルとジャンセンと同じ、33歳だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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