インテル、財務報告の事業区分を大幅変更、「モノのインターネット」や「モバイル」に注力
米半導体大手のインテルは、新会計年度から財務報告の事業区分を大きく変更すると発表した。
同社は4月15日に2014年第1四半期(1〜3月)の決算を発表する予定で、このときから新区分を反映させた財務報告を行うという。
インテルは、米マイクロソフトと同様に、製品の種類別ではなく、昨今のトレンドに応じた業務体制を構築し、業績報告もそれに合わせて行うという方針だ。
「IoT」と「モバイル」を追加
同社にはこれまで次ぎのような事業区分があった。
「PCクライアント」
「データセンター」
「ソフトウエア&サービス」
「その他インテル・アーキテクチャー」
「その他の事業」
今後は新たに以下の2つを設け、「その他インテル・アーキテクチャー」の各種事業は「その他の事業」に移すという。
「IoT(Internet of Things、モノのインターネット)」
「モバイル&通信」
このうち、モノのインターネットと呼ばれるIoTは、従来個々に動作していた機器を、ネットワーク接続型の機器として連携させるという最近の動向を表す言葉。様々な製品に組み込まれたセンサーなどが収集する膨大なデータを利用し、ビジネスの幅広い分野で役立てようという動きのことだ。
インテルでは、昨年11月にIoT部門を設置している。今後はこれまで「その他インテル・アーキテクチャー」内の「インテリジェントシステムズ事業」に区分されていた組み込み半導体事業をここに移管する。
ここでは医療、自動車、産業、流通といった市場の組み込み機器向け半導体を手がけている。また従来「ソフトウエア&サービス」に区分されていた組み込みシステム向けのソフトウエア事業「ウインドリバー」もこちらに移す。
「その他」から重要事業を抽出
一方の「モバイル&通信」には、タブレット事業、携帯電話事業、マルチコム事業が入る。このマルチコム事業は、モバイル通信関連のチップを扱う部署で、ベースバンドプロセッサーや、RFトランシーバー、Wi-Fi、Bluetooth、衛星ナビゲーションシステムといった製品がある。
興味深いのは、新たに設けた「モバイル&通信」のすべての事業はこれまで「その他インテル・アーキテクチャー」に区分されていたという点だ。
このほかにも、「その他インテル・アーキテクチャー」から他に移される事業が多くある。例えば、同部門の「サービスプロバイダー事業」の中にあったテレビのセットトップボックス向け電子部品はパソコン部門「PCクライアント」に移る。
また同じく同部門内の「インテリジェントシステムズ事業」に区分されていた通信インフラ関連事業は、サーバー向け半導体などを扱う「データセンター」部門に加わる。
こうして見ると、同社は「その他インテル・アーキテクチャー」から、実に多くの事業を移す。今後成長が見込める事業は分離し、主力事業を補強できるものは統合するというわけだ。
なお、同社には戦略的な事業部門がある。昨年、ブライアン・クルザニッチCEOが就任後まもなくして設置した「ニューデバイス事業」だ。
こちらは将来の機器を取り巻く新たなビジネスモデルを見つけることを目的としており、現在は消費者向け機器やその技術基盤、ウエアラブル端末などの新しい機器向け半導体の基本設計などを手がけている。
(JBpress:2014年4月9日号に掲載)