異色のお笑いコンビ、“バーター芸人”に“鉄道芸人”!
競争の激しいお笑いの世界で、勝ち残るには、当然、何かしら“武器”が求められる。この“武器”について、ツウの間では注目される“変わり種”のコンビがいる。
“裏の言葉”を堂々と
1つは、これまで誰も手を付けてこなかったまさかのジャンル“バーター芸人”を名乗るお笑いコンビ「ヴェートーベン」だ。
そもそも“バーター”とは英単語のbarter(物々交換)から派生した言葉とも言われていて「人気タレントを出演させるかわりに、あまり知名度のないこの人たちも番組に出して」といった文脈で使われる言葉。「タレントを“束”で出す」の束(たば)を逆から読んで業界用語にしたという説もあるが、いずれにしても決して表だって使われる言葉ではない。
この“裏の言葉”を堂々と身にまとい、自らを「バーター芸人です!!」と言い切ってしまうことで光を浴びているのが「ヴェートーベン」。
その決意を物語るように、舞台衣装の裏地には「ヴェートーベン」ならぬ「バーターベン」の文字が縫い込まれている。
女優やモデルにあやかり…
2人が“バーター芸人”と言い切るのは、今日までのコンビの足跡が深く影響している。1998年にコンビを結成。メンバーは、ボケ担当の青井貴治(34)とツッコミの久保隆(35)で、デビュー当時は松竹芸能所属として大阪で活動していたが、フリーを経て、2010年からはオスカープロモーションに移籍して活動している。
オスカーといえば、米倉涼子、上戸彩、武井咲、剛力彩芽に代表される女優、モデルが数多く所属する事務所。そのお笑い部門のリーダー格が「ヴェートーベン」となっている。
米倉の出演イベントで司会をしたり、同事務所主催のビッグイベント「全日本美少女コンテスト」で審査中のハーフタイムショー的にネタを披露したり…など、多くの人気女優が所属する事務所がゆえに、“バーター”として仕事が急増。大阪時代からネタには定評があったが、オスカーに入ってから“バーター”的に押し寄せる仕事を多数経験するうちに仕切りのスキルも高まり、それがさらにテレビの仕事にもつながっていった。
春からはテレビ朝日系「GO!オスカル!X21」(金曜・深夜1時20分)などの番組でもレギュラーを獲得し、仕事の幅を一気に広げてきた。
実績も伴ってきているだけに「実際、バーターで呼んでいただくことが多くて、お仕事をちょうだいしてますから!!自信を持って“バーター芸人”を名乗っていきたいです。こそこそせずに、自分から言い切っちゃうということが、必要かなと(笑)」(久保)とぶれずに自らのスタンスを貫き通している。
ひたすら突っ走る!
周りを最大限利用してのし上がるのが“バーター芸人”ならば、その一方で「自分たちは、ひたすらこの道を突っ走る!!」という、ある種、頑(かたく)な姿勢を見せるのが太田プロ所属の「ダーリンハニー」だ。
1994年コンビ結成。もともと、ボケ担当の吉川正洋(36)が無類の鉄道好きで、ネタ中に鉄道の要素を散りばめることもあったが、一気にシフトチェンジしたのが昨年のこと。鉄道に興味のなかったツッコミの長嶋智彦(37)も一緒に車掌風の制服に身を包み、鉄道ネタ満載の「鉄道漫才」を始めた。すると効果はすぐに表れ、時をほぼ同じくして、吉川が日本テレビ系「笑神様は突然に…」(金曜・後7時)の電車で旅をするコーナーにレギュラー出演が決定。さらに、鉄道関係のイベントからも引っ張りだこになった。
また、鉄道芸人ならではの仕事の広がりも見せている。
「ありがたいことに、鉄道各社には系列の百貨店がある。鉄道関係のネットワークから百貨店関連のイベントにも呼んでいただけるようになるという、思わぬ余波もありました」(所属事務所担当者)。
単独ライブは完売!
11月8日、9日には、単独ライブ「Trainspotting」(東京・下北沢 小劇場楽園)も開催するが、両日ともチケットは完売する人気ぶりとなっている。
「“なんでもやります”ではなく“ウチはこれでやってます”というほうが、使う側としては使いやすい。このプレゼンをやりきっていることが、仕事を舞い込んでいるポイントだと思います」(在阪民放局スタッフ)。
この“変わり種”の2組、どこまでのし上がれるか、今後の活躍に注目したい。