「日本人選手をアルゼンチンで活躍させたい!」エージェント会社を設立した元浦和レッズのエスクデロ競飛王
2005年に浦和レッズでプロデビューし、2012年まで在籍。その後、韓国の強豪、FCソウル、中国の江蘇国信舜天足球倶楽部、京都サンガ、蔚山現代FC、栃木SC、チェンマイ・ユナイティッド、エルサルバドル1部リーグのアトレティコ・マルテと渡り歩き、オーストラリアのバンユール・シティ、現在は同国3部リーグのノース・ギ―ロング・ウォリアーズでプレーするエスクデロ競飛王(35)。
父のセルヒオは、現役生活の最後を浦和レッズで過ごし、その後、同ユースの監督、埼玉栄高校、ROKU FCなどを経て、今日、埼玉県のジュニアユース、トリコロールFCのコーチとして指揮を執っている。競飛王の伯父(実父の兄)は、ワールドユース東京大会で、マラドーナと共に世界一となった右ウイングのピチである。
競飛王はウォリアーズで現役生活を送る傍ら、昨年10月にエージェント会社を設立した。
父がスペインリーグに所属していた際に当地で誕生し、7歳から6年あまり、アルゼンチンで生活した競飛王は語る。
「2022年エルサルバドルでサッカーしている時に、オフを利用してブエノスアイレスに戻りました。10年ぶりのアルゼンチンでした。もともと従兄弟や親戚と連絡はとっていましたが、会うのは本当に久しぶりでした。僕の一つ年上の従兄弟で、ボカ・ジュニアーズやビジャレアルCF、グレミオなどでプレーしたダミアンがいて、彼の家に約1週間泊まったんです(ダミアンはピチの息子)。その時に2人で話して、日本とアルゼンチンのサッカーを繋げたい、南米のサッカーの文化を日本の子供達、そしてプロを夢見る若い世代に味わってもらいたいと、意見が一致したんですよ。
最大の目的は、日本の選手たちがアルゼンチンで得た経験を母国に持ち帰って、日本のサッカーを強くすることです。だからこそ、エージェント会社を立ち上げました。正直に言うと、もう少し後に会社を作る予定だったのですが、周囲に、アルゼンチンに行きたいって言う人が沢山いて、急遽作ることにしたんです。
社名は<EDS global fútbol experience>としたのですが、僕とダミアンのEscudero Damián Sergioの頭文字を取りました」
日本国内で希望者によるTRYOUTを実地し、可能性のある若い才能をアルゼンチンに送る。あるいは個別でも相談に乗り、サッカー留学や遠征、プロへの挑戦を後押しすることがEDS global fútbol experienceの活動となる。
「TRYOUTは年に2回を目標にしていますが、合格者の人数は決めていません。行きたい選手、学生、子供がいれば、その人のためのプランを考えます。1人1人、全く別の、その選手に合ったサポートを考えています。本人の希望を汲むことが第一歩ですね」
発足間もない同社だが、早くもMFの佐々木ユリア選手がボカ・ジュニアーズの女子チームと契約した。
「初めて彼女を見た折、体は小さいけれど、シュート力があり、テクニックはかなり高いレベルにあると思いました。とても頭のいい選手で、試合中フリーなスペースを見つけるのが上手なんですよ。
周りを生かしながらチームにパスサッカーを落とし込めるんです。ユリア選手が試合に出ていると、自然と周りもサッカーが上手くなったような感覚になるようなタイプです。
ユリア選手のエージェントは僕とダミアンでやっております。ダミアンはダミアンでアルゼンチンに選手の代理人をする会社を立ち上げたので、ユリア選手は今はダミアンの会社と代理人契約を結んでいます。
僕らのプロジェクトは、選手の活躍次第でブラジルやヨーロッパにも挑戦させることが出来ます。そういう選手が沢山出てきてほしいですし、チャンスを作っていきたいですね」
佐々木ユリア選手は、3月10日に開幕したリーグで既にピッチに立った。しかも相手はリーバー・プレートだった。佐々木選手、競飛王のチャレンジに注目だ。
※後編に続く