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アイドルと漫才、オンリーワンの二刀流「シュークリーム」

中西正男芸能記者
「シュークリーム」のしより(左)と吉岡久美子

 吉本興業が手掛けるアイドルユニット「つぼみ」のメンバーで、漫才コンビ「シュークリーム」としても活動するしよりさん(23)と吉岡久美子さん(25)。同ユニットのコンセプトでもある“めっちゃオモロいアイドル”を体現する存在にもなっています。アイドルと漫才、それぞれを本気でやる異色の二刀流でもありますが「漫才を一生懸命やることで、アイドルとは何なのか。それが見えた気がします」と言葉に力を込めました。

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ゼロからのスタート

吉岡:今で9年目。来年は10年目になりますけど、まさか自分がこんなことをするようになるとは思ってませんでした。子供の頃からお笑いは好きで、そんな流れで吉本興業のメルマガみたいなのをとっていたんです。そこに“アイドルユニット・つぼみのメンバー募集”という文字があって「ま、一回受けてみようかな。吉本だし、楽しそうだし」というノリ丸出しの感じで受けたら、何がどうなったのか、受かりまして(笑)。

しより:私も漠然とした芸能界へのあこがれはあったんですけど、なかなか踏み出せず。テレビで「つぼみ」のオーディション告知を見て、受けてみようと思ったんです。

吉岡:なので、2人とも本当に何もできない状態でメンバーになったんです。他の子たちは、しっかりと歌を勉強していたとか、ダンスのレッスンに通っていたとか、何かしら“できること”があったんですけど、私たちにはそれがない。なので、最初は出番もあまりなくて、全員で出るところだけ、その他大勢的な感じで出るくらいだったんです。

漫才の授業で

しより:ただ、それも当然というか、本当に何もできないし、いざステージに立っても何をしたらいいのかも分からない。そんな時間が半年ほど流れて、そのあたりでレッスンの中に、漫才が入ってきたんです。ま、ここが吉本のアイドルユニットらしいところなんですけど(笑)、それが転機でした。1時間のレッスンで、漫才を書いて披露するところまでやるんですけど、2人で組んでやったら、驚くほどウケて、先生もすごく褒めてくださったんです。その流れのまま「『M-1グランプリ』に出なさい」と言われまして。そうやって、やっと人前で見せるもの=漫才ができていったという流れだったんです。

吉岡:ただ、予選では浮きまくってて。歳も若いし、見た目も女芸人という感じではない。「アイドルが来よったで。どうせ、面白くないんやろ」という空気満々でした。そこで本当に全くウケなかったら、本当にそう思っている人たちの思うつぼというか(笑)、そのままになってしまうので、絶対に頑張らなきゃと。それが私たちの良いエンジンみたいになったというところはありますね。

しより:心に火がついたというか。そこから「シュークリーム」でライブをやる時には毎回新ネタをたくさん作って。必死にやっていきました。

漫才をやって分かったこと

吉岡:アイドルをメインにやりつつも、本当に漫才で賞を取ろうと思って、本気で漫才強化の年を作ったんです。今から3年前に。どんな小さな商店街の漫才コンテストでも全部調べて応募して、とにかく漫才の力を鍛えまくりました。ただ、残念ながら、漫才で大きな賞を取ることはできなかったんですけどね。

しより:本当に残念ではあったんですけど、自分たちができることは全部やりました。ただ、そうやって必死に漫才をやっていると、今までアイドルとして見に来てくださっていた方々から、これまで以上の声援を受けることができたんです。言葉にすると薄っぺらくなりますけど“一生懸命やることの意味”みたいなことを感じまして。

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アイドルの意味

吉岡:一生懸命やっていると、そこに共感してくださる方々がいる。そこからもう一つ奥にあることを考えると言いますか、アイドルとは何だと。私らの解釈だと、何事も全力でやっているのがアイドルじゃないかと思うようになったんです。そうやって必死にやっている状況、必死にやっている人を見てもらうのがアイドルということなのかなと。

しより:歌にしても、ダンスにしても、専門の方がいらっしゃるし、当然、そういう方々はとんでもなくお上手。ただ、アイドルは何でもやるし、何でもやろうと頑張ることが大切。歌自体、ダンス自体というよりも、その姿を見ていただくのが私たちの役目なのかなと。

吉岡:だからこそ、いつも全力でないといけないし。そういう意味では、こんなことを言うのはナニですけど(笑)、ほぼ毎日、しよりが横にいてくれることが支えになっています。しよりはとにかく負けず嫌い。私は気持ちで負けちゃう部分があるので、一人だったら、とっくに辞めていると思います。

しより:逆に、私も支えてもらっています。自分では「負けちゃう」と言ってますけど、いつも冷静ですし、しっかりと成立している。ただ、時折、弱い部分も見せてくれる。そうなると、より一層「2人で頑張ろう!」となりますし、自分たちで言うのも本当にナニなんですけど(笑)、バランスが取れていると思います。

吉岡:2人とも最初は何もないのが良かったのかなと。ゼロから始まっているから、何かゲットしたら全部がプラスになるし、自信を持っているものがあったら、それが折れた時に心も折れてしまっていたと思います。

しより:最後、急に自画自賛みたいになってるけど、大丈夫かな(笑)。

吉岡:確かに、これはちょっと気持ち悪いかもしれんけど(苦笑)、ホンマに思っていることやから。正直な思いをお伝えしました(笑)。

(撮影・中西正男)

■シュークリーム

1994年8月26日生まれで奈良県出身のしよりと、 92年12月24日生まれで兵庫県出身の吉岡久美子のコンビ。ともに、吉本興業のアイドルユニット「つぼみ」のメンバーで、2010年に行われた「新生つぼみオーディション」を経て「つぼみ」に加入した同期でもある。同年に「シュークリーム」を結成する。ABCテレビ「おはようコールABC」などに出演中。8月1日には「つぼみ」の3枚目のシングル『Dreamer』がリリースされる。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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