2025年こそ訪ねたい!「泉質がすばらしい混浴の温泉」5選(東日本編)
日本の温泉文化のひとつである「混浴」。時代の流れもあり、年々混浴の湯船は減るばかりだが、一方で矜持をもって混浴を守り続けている温泉地も多い。
混浴の魅力は、老若男女が分け隔てなく入浴できる点にあるが、もうひとつ大事なポイントがある。それは温泉の質が高いこと。混浴は基本的に源泉かけ流しが当たり前である。
その理由はおもに2つある。
・循環ろ過装置が主流になる前から存在するから。混浴の湯船は実質新設できないため、長い歴史をもつ。現代のように循環ろ過装置が導入される前からある湯船がほとんどなので、源泉かけ流しがデフォルトである
・源泉の近くに湯船があるから。歴史の長い混浴の湯船は、源泉が湧き出している場所の近くに湯船がつくられることが多い。そのほうが現在のようにわざわざ引湯をするより効率的だ。混浴には湯船内の足元から直接湧き出しているケースも多い。
今回は、そんな源泉の質が高い「混浴の温泉」を東日本エリアに絞って5か所紹介したい。
酸ヶ湯温泉・酸ヶ湯温泉旅館(青森県)
東北を代表する湯治場の一軒宿。豪雪地帯として知られるが、今年は例年以上の積雪と報道されている通り、冬は想像を超える雪が降り積もる。総ヒバ造りの大浴場「ヒバ千人風呂」はメディアでもよく取り上げられる名物混浴風呂で、湧き立ての乳白色の源泉がかけ流しにされている。一部の湯船は足元湧出泉だ。老若男女がいっしょに湯船につかる風景からは、今では貴重となった混浴文化を守る宿の矜持を感じられる。女性専用時間あり。
法師温泉・長寿館(群馬県)
みなかみ町の山間部にある秘湯の一軒宿。明治28年築の大浴場「法師乃湯」は国の登録有形文化財で、昭和を通り越して明治時代の面影を残す。鹿鳴館風の浴室は温泉ファン憧れの空間だ。4つに仕切られた湯船はいずれも湯船の底からぷくぷくと源泉が湧く足元湧出泉。適温で新鮮な湯が絶えずかけ流しにされている。湯が湧きあがる場所を探すのも楽しい。目隠しなどがない混浴なので入浴のハードルは高いが、女性専用時間がある。
大沢温泉(岩手県)
花巻南温泉峡の一角を占める大沢温泉は、2つの個性の異なる建物で構成される一軒宿。なかでも自炊部のある「湯治屋」は、昔ながらの湯治宿の雰囲気を残しており、リーズナブルな料金で湯治を体験できる。名物は、川に面した混浴露天風呂「大沢の湯」。鮮度の高い透明湯がかけ流しにされている。30人くらいは同時に入れそうな湯船からの風景は、昔話の世界に出てきそうな懐かしさで、冬は雪見風呂が楽しめる。女性専用時間あり。
鉛温泉・藤三旅館(岩手県)
同じく花巻南温泉峡のひとつで、大沢温泉からは車で10分ほどの距離。一軒宿「藤三旅館」の名物は、湯船の深さが平均1.25mもある「白猿の湯」。立ったまま入浴する珍しいスタイルの混浴風呂だ。体がふわふわと浮かぶ感覚が楽しい。源泉は湯船の底からぷくぷくと湧き出す足元湧出泉で、湯の鮮度は抜群だ。豊沢川に面した露天風呂もすばらしい。鮮度の高い湯にひたすら向き合うには最適の環境である。白猿の湯は女性専用時間あり。
乳頭温泉郷・鶴の湯(秋田県)
日本を代表する「秘湯」といえば乳頭温泉郷だ。なかでも江戸時代にタイムスリップしたかのような風情が漂う「鶴の湯」は、乳白色の濁り湯が人気である。複数の源泉をもつが、最も絵になるのは混浴の大きな露天風呂。一番人気で、勇気を出して入浴する混浴初心者も多い。足元から源泉がぷくぷくと湧き上がる貴重な源泉である。日中は日帰り入浴で混雑するので、宿泊して静かな時間を過ごすのがおすすめ。今の季節は雪見風呂が楽しめる。
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