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電話による1日あたりの通話回数と1通話の通話時間の推移をさぐる(2024年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
スマホ時代でも通話は大切な機能のはず(写真:アフロ)

通話による電話利用がコミュニケーションでは重要な手段の一つには違いないが、以前と比べ重要性は薄れつつある。電話による通話時間の実情を、総務省が2024年2月に発表した調査結果「通信量からみた我が国の音声通信利用状況-令和4年度における利用状況-」(※)の公開値を基に、1日あたりの通話回数と、1通話の時間から確認する。

まずは「1契約1日あたり通信回数」。要は1契約単位で、1日あたり何回音声通話が行われているか。もっとも古い記録の1994年度では加入電話が3.9回、携帯電話が2.3回。それが何度かの上下を見せながら漸減し、直近の2022年度ではそれぞれ0.8回・0.5回にまで減ってしまう。

↑ 1契約1日あたり通信回数(種類別)
↑ 1契約1日あたり通信回数(種類別)

↑ (参考)通信回数(通話、国内、種類別、億回)
↑ (参考)通信回数(通話、国内、種類別、億回)

携帯電話・PHSの全体としての通話利用回数は2011年をピークに減りつつあるが、1契約あたりではすでに今世紀に入ってから減少を続けている。要は1契約あたりの回数は減り続けたものの、契約数そのものの増加により、かつて総通信回数は増えていたことになる。また契約数が増えて1人2台持ちの事例も増加し、その分1契約単位での回数が減ったのも一因(2台の携帯電話を「同時に」使う人は滅多にいない)。さらに今世紀に入ってからはインターネットの普及で電子メールやSMS、各ソーシャルメディアやチャットツールに意思疎通手段が移りつつあるのも大きな要因。

1通信、つまり1回の通話による時間の長さはどうだろうか。通話単位、さらには1日単位での通信時間を算出したのが次のグラフ。

↑ 1通信あたり通信時間(種類別、分:秒)
↑ 1通信あたり通信時間(種類別、分:秒)

↑ 1契約1日あたり通信時間(種類別、分:秒)
↑ 1契約1日あたり通信時間(種類別、分:秒)

携帯電話・PHSの1通信あたりの通信時間では上下を繰り返しながら漸増、2008年度以降はほぼ横ばい化し、2014年度からは再び増加の動きを示している。通信時間が伸びている理由は今報告書では明らかにされていないが、固定電話の契約数は相変わらず減っていることから、固定電話で長時間通話利用をするスタイルの人も、携帯電話にシフトした結果の可能性がある。また、先行記事で言及の通り、PHSの契約数も2014年初頭をピークに急速に減少中であり、PHSは音声通話の安さがセールスポイントだったことを併せ考えると、むしろ固定電話よりPHSの利用者が携帯電話に移行した結果だと考えた方がスマートに思える。

2020年度では加入電話、携帯電話・PHSともに1通信あたりの通信時間が前年度比で大きく延びており、特に加入電話では久々の前年度比でのプラスとなった。これは新型コロナウイルスの流行で在宅時間が延び、単純な(短時間で済む)連絡だけでなく、通常のコミュニケーションを電話の通話で行う人が増えたからだと思われる。翌年の2021年度では加入電話こそ前年度比で減ったものの、携帯電話・PHSでは増加。直近年度の2022年度では前年度比で減少したが、これは2020年度・2021年度で大きく延びたことの反動だろう。

携帯電話・PHSの1通信あたりの時間などは増加を見せているが、1契約1日あたりの通信時間は減少中。固定電話は1通信あたりも1契約1日あたりも通信時間の減少に歯止めがかからない状態。この状況に関して報告書では特に説明は無い。これらのデータからの推測ではあるが、携帯電話・PHSの動向については、長時間音声通話をしている人は利用し続けているが、短時間で済ませていた人は意思疎通の手段を音声通話から電子メールやSMSのような非音声の手段に切り替えているのだろう。長時間利用している人が残っているので1通信あたり通信時間は延びるが、音声通話をする人自身は減っているので1契約1日あたり通信時間は減少していく次第ではある。

なお今件は音声通話関連のデータのみの収録のため、電子メール・SMS・ソーシャルメディアなど非音声によるコミュニケーションの頻度・量の増減を今グラフに重ねることはできない。しかし各サービスの普及や利用率の高まりは、他調査で山ほど裏付けられている。人々のコミュニケーションそのものが減っているのではなく、固定電話・携帯電話の音声通話による減退とともに連動する形で、携帯電話(やパソコンなど)のデジタルコミュニケーションの増加が起きているのは間違いない。

質や様態の変化は別として、人は相変わらず他の人とのコミュニケーションを、つながりの確認を欲する生き物であることに変わりはないようだ。

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※通信量からみた我が国の音声通信利用状況-令和4年度における利用状況-

日本国内の電気通信事業者からの報告を取りまとめたもので、対象事業者は兼業している事業者も含め発信側で区分すると、固定系関係10社、IP電話系21社、移動電話系11社、そして国際電話関係7社。過去の調査結果も同様の様式で取りまとめられている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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