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王朝再び!? 3ヵ月に3人の若手と延長契約を交わす。合計額は3億5900万ドル

宇根夏樹ベースボール・ライター
オースティン・ライリー(左)とマイケル・ハリス2世 Jun 8, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 10月10日、アトランタ・ブレーブスは、スペンサー・ストライダーと6年7500万ドル(2023~28年)の延長契約を交わした。ストライダーは、23歳のルーキーだ。昨年10月にメジャーデビューした。今シーズンのストライダーについては、9月に「130イニングで200奪三振は最速。ランディ・ジョンソンを超える。別の投手は連続QSの新記録を樹立」「「シーズン200奪三振のルーキー」はここ30年に5人。そのうち3人は日本人投手」で書いた。

 ここ3ヵ月の間に、ブレーブスが長期の延長契約を結んだ若手は、ストライダーが3人目だ。25歳のオースティン・ライリーと10年2億1200万ドル(2023~32年)、21歳のマイケル・ハリス2世と8年7200万ドル(2023~30年)。ストライダーを含む3人の契約総額は、3億5900万ドルとなる。ライリーの契約については、「この三塁手が得た10年2億1200万ドルの契約は「総額2億ドル以上」の史上25件目」で書いた。

 この流れは、今に始まったことではない。2019年の開幕直後には、ロナルド・アクーニャJr.オジー・オールビースの2人と、それぞれ、8年1億ドル(2019~26年)と7年3500万ドル(2019~25年)の延長契約を交わしている。当時のアクーニャJr.は21歳、オールビースは22歳。現時点でも、24歳と25歳だ。また、彼らほど若くはないものの、マット・オルソンとも、今年3月にオークランド・アスレティックスから獲得した直後に、8年1億6800万ドル(2022~29年)の延長契約を結んだ。オルソンが28歳の誕生日を迎える、半月前のことだ。ちなみに、オルソンの前にブレーブスで一塁を守っていたフレディ・フリーマン(現ロサンゼルス・ドジャース)と比べると、オルソンのほうが4歳半若い。

 オルソンを別にすると、他の5人の延長契約は、いずれも、ブレイクからそれほど経っていない時期だ(オルソンは、アスレティックス時代にシーズン35本塁打以上とゴールドグラブが2度ずつ)。アクーニャJr.は、2018年に新人王を受賞した。オールビースは、2017年の夏から二塁に定着し、フルシーズン1年目の2018年はオールスター・ゲームに選ばれた。ライリーは、2021年に33本のホームランを打ち、その前の2シーズンは.750と.716だったOPSを.898へ上昇させた。ルーキーのストライダーとハリスは、新人王の投票でナ・リーグのトップ2を占めるだろう。

 すでにブレイクしているので、メジャーデビュー前やデビュー直後の延長契約と比べれば、リスクは軽減される。資質を備え、マイナーリーグで活躍していても、メジャーリーグでは活躍できないというリスクだ。その一方で、数年にわたってメジャーリーグで実績を残した選手と比べると、金額は安く済む。また、オルソンを含む6人の延長契約には、1~2年分の球団オプションがついている。それらのオプションは、極端な高額ではない。スペンサーの2200万ドル(2029年)以外は、年俸2000万ドル以下だ。

 ブレーブスは、1991年から2005年まで――ストライキにより、シーズンが途中で打ち切られ、ポストシーズンもなかった1994年を挟み――地区優勝を続けた。1993年まではナ・リーグ西地区(2地区制)、1995年以降はナ・リーグ東地区(3地区制)に君臨した。現在は、2018年から地区5連覇中だ。球団オプションを行使すれば、少なくとも2027年まで、6人を保有することができる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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