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「シーズン200奪三振のルーキー」はここ30年に5人。そのうち3人は日本人投手

宇根夏樹ベースボール・ライター
スペンサー・ストライダー(アトランタ・ブレーブス)Sep 1, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月18日、スペンサー・ストライダー(アトランタ・ブレーブス)は、シーズン200奪三振に到達した。ストライダーのメジャーデビューは、昨年10月。今シーズンも、新人王の資格を持っている。

 ここ30年(1993~2022年)にシーズン200奪三振を記録したルーキーは、ストライダーが5人目。その前の4人は、1995年に236奪三振の野茂英雄、1998年に233奪三振のケリー・ウッド、2007年に201奪三振の松坂大輔、2012年に221奪三振のダルビッシュ有(当時テキサス・レンジャーズ/現サンディエゴ・パドレス)だ。

 ストライダーは、ダルビッシュ以来10年ぶり。また、日本プロ野球でエースとして実績を残した後、メジャーリーグで投げた3人を除くと、ウッド以来24年ぶりということになる。野茂、松坂、ダルビッシュは、日本プロ野球でシーズン200奪三振を4度ずつ記録している。

 ちなみに、2008年に206奪三振のエディンソン・ボルケスは、この年の新人王投票でナ・リーグ4位にランクインしたが、ルーキーではない。その前の3シーズンに、計80.0イニングを投げている。50イニングを超えた投手は、新人王の対象から外れる。

 また、野茂の前にシーズン200奪三振を記録したルーキーは、見落としがなければ、1984年のドワイト・グッデンマーク・ラングストンまで遡る。それぞれ、276三振と204三振を奪った。

 グッデン、ラングストン、野茂、ウッド、松坂、ダルビッシュの6人中、新人王を受賞したのは、グッデン、野茂、ウッドの3人だ。1984年のラングストンは2位、2007年の松坂は4位、2012年のダルビッシュは3位だった(いずれもア・リーグ)。ラングストンと松坂の場合は、チームメイトが新人王に選ばれた。シアトル・マリナーズのアルビン・デービスと、ボストン・レッドソックスのダスティン・ペドロイアだ。10年前のア・リーグ新人王は、マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)が受賞した。

 ストライダーは、グッデン、野茂、ウッドと同じく、新人王に選ばれそうだ。ただ、ラングストンと松坂のように、チームメイトが受賞する可能性も皆無ではない。5月28日にデビューしたマイケル・ハリス2世は、センターを守り、100試合で打率.305と出塁率.343、18本塁打と16盗塁、OPS.880を記録している。

 なお、シーズン200奪三振を記録した他のルーキーと違い、ストライダーは、規定投球回には届かない。ここまでは、131.2イニングだ。開幕から5月下旬まではリリーバーとして投げ、ハリスがデビューした2日後に初の先発登板。そこから、ローテーションに加わった。

 もっとも、この点は、新人王の妨げにはならないはずだ。ストライダーのイニングは、ナ・リーグのルーキーでは最も多い。ハリスも、現時点で400打席未満なので、規定打席には到達しない。

 ストライダーの200奪三振については、こちらでも書いた。

「130イニングで200奪三振は最速。ランディ・ジョンソンを超える。別の投手は連続QSの新記録を樹立」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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