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暖冬の影響を受けている「花の兄」って誰?人に教えたくなる雑学を気象予報士が解説

植松愛実気象予報士・防災士・野菜ソムリエ
奈良時代から日本にあるものです

「花の兄」という言葉があります。
「花兄(かけい)」と書くこともあり、俳句の季語にもなっている古い言葉ですが、その正体は気象庁でも観測されていて天候とも関係が深いものです。

今回は、知っていると人に教えたくなる身近な豆知識を気象予報士が解説します。

「兄」は先に生まれる

花のお兄さんということは、他の花よりも先んじているということ。
つまり「花の兄」は、まだ他の花が咲かないくらい寒いうちから咲き始める梅のことです。

梅は桜の花と同様、夏の間に花の赤ちゃん(=花芽)ができ、寒い冬を「休眠」という状態で越してから開花するタイプの植物ですが、梅の休眠は桜よりも浅いために咲くのも早いと考えられています。

昔の人はもちろん科学的なことは知らなかったと思いますが、それでも経験則として梅が他の花より圧倒的に早く咲くことを体感し、この言葉を使っていたのでしょう。

各地の気象台で観測!暖冬の影響が色濃く

各地でほころぶ梅の花からはほんのり甘い香りがする
各地でほころぶ梅の花からはほんのり甘い香りがする

気象庁では全国各地の気象台の敷地内または近隣で、「生物季節観測」という観測を行っています。
毎年春になると気象台による桜の開花発表がニュースになりますが、実は桜と同様に梅やアジサイの開花も観測していて、年間を通して複数の植物を観測することによって気候変動の影響などを監視しているのです。

その観測によると、今シーズンは梅が平年を大きく上回る早さで続々と開花。
東京では1月9日にすでに開花していて、福岡では1月11日、名古屋では1月18日などと、いずれも平年より10日~20日早く、暖冬の影響が出ているようです。

「花の父母」もあった!

「花の兄」の他に、実は「花の父母」という言葉もあります。
父母ということは花を育むもの、つまり雨のことです。

気象庁の1か月予報によると、このさき西日本~東海では降水量が平年並みか多くなる予想。
もともと例年この時期は春に向かって徐々に降水量が増えていくものですが、今年はいつもの年より増加が早まるかもしれません。

気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

気象予報士・防災士として講演・執筆を行う傍ら、野菜ソムリエ・食育インストラクター・薬膳マイスターとして出張料理人(一般家庭での作り置き代行)としても活動。NHK・民放各局で気象キャスターを歴任し、報道の現場や防災、気候変動・地球温暖化に関する最新情報にも詳しい。著書に『天気予報活用ハンドブック~四季から読み解く気象災害』(竹下愛実名義・共著)がある。

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