キンブレルがわざとボークをしでかして走者を進める。その理由は…
10月3日、クレイグ・キンブレル(フィラデルフィア・フィリーズ)は、9回表のマウンドに上がった。この時点で、フィリーズは、4対1とリードしていた。
先頭打者のジョシュ・ベル(マイアミ・マーリンズ)に二塁打を打たれ、続く2人をアウトに仕留め、2死二塁となったところで、キンブレルは、いつものポーズから身体を起こし、モーションに入る前に、ボールを落とした。ボークが宣告され、ベルは三塁へ進んだ。
下のXの映像を観てもらえればわかるように、手が滑ったのではない。
インテンショナル・ウォーク(敬遠四球)ならぬ、インテンショナル・ボークだ。
なぜ、無死二塁や1死二塁ではなく、2死二塁となってからそうしたのかは不明だが、どうやら、二塁走者にサインを盗まれることを嫌ったらしい。キンブレルは、無線によってサインを伝達する「ピッチコム」を使用していない。
また、ベルに生還されても、フィリーズはまだ2点リードしている。
キンブレルのインテンショナル・ボークは、これが初めてのことではない。確か、2度目でもないはずだ。
2死三塁とした後、キンブレルは、ブライアン・デラクルーズを三塁ゴロに討ち取り、ワイルドカード・シリーズの第1戦を締めくくった。
もしかすると、あと1アウトでワールドシリーズ優勝が決まるという場面でも、キンブレルのインテンショナル・ボークが見られるかもしれない。
キンブレルは、ボストン・レッドソックス時代の2018年に、ワールドシリーズ優勝を経験している。この時は、ワールドシリーズ第1戦から第4戦まで続けて登板したが、最後の第5戦はマウンドに上がっていない。デビッド・プライスが7.0イニングを投げた後、ジョー・ケリー(現ロサンゼルス・ドジャース)を挟み、9回裏は、現在もレッドソックスにいるクリス・セールが登板した。