スペイン代表の”サプライズ選出”はあるのか?ペドリ、ガビ、ブスケッツ…森保ジャパンの難敵を読み解く。
カタール・ワールドカップ開幕の日が、近づいている。
日本代表は1日に森保一監督が招集メンバーの26名を発表した。ドイツ、コスタリカ、スペインが属するグループEで、森保ジャパンは決勝トーナメント進出を懸けて戦う。
■森保ジャパンの難敵
日本にとって、グループ突破の最大のライバルとなるのはドイツ、そしてスペインだろう。
そのスペインは、現地時間11日に代表メンバーの発表を行う。リーガエスパニョーラ第14節が終了する10日まで待ち、W杯に連れて行くメンバーを決定する考えだ。
ただ、ルイス・エンリケ監督というのは、「喰えない」指揮官である。彼の頭の中を覗くのは、非常に難しい。
今大会においては、26名の招集が可能だ。これまで、招集は23名が通例だった。だが新型コロナウィルスの影響で、その枠が拡大された格好だ。
しかしながら、ルイス・エンリケ監督は2021年夏に行われたEURO2020で、26名を呼べるところ、24名しか招集しなかった。これは当時、物議を醸した。2枠を残す理由が、現地メディアとファンには理解できなかったからだ。
結論から言えば、ルイス・エンリケ監督は正しかった。ローテーションを駆使して、試合に参加しない選手をつくらないようにした。EURO2020では、ベスト4に進出。結果で批判をねじ伏せた。
■EURO2020の主力
カタールW杯に向けて、基本的にはEURO2020のメンバーが主力になるだろう。
GKはウナイ・シモンが当確だ。ロバート・サンチェス、ダビド・ラジャがそこに続く。マンチェスター・ユナイテッドのダビド・デ・ヘア、チェルシーのケパ・アリバサラガとビッグクラブでプレーしている選手もいるが、ここまでの招集歴からシモン、サンチェス、ラジャが選ばれるはずだ。
DFはGKと同様、サプライズの要素が少ない。ダニ・カルバハル、セサル・アスピリクエタ、ジョルディ・アルバ、ホセ・ルイス・ガヤ、パウ・トーレス、エリック・ガルシア、アイメリック・ラポルト、ディエゴ・ジョレンテ、イニゴ・マルティネスの選出が濃厚だ。
なお、スペインの55名のプレ招集リストには、ジェラール・ピケやセルヒオ・ラモスが入っていると言われている。だがピケは先日、バルセロナからの電撃引退を表明。ラモスに関しては、2020年3月を最後に代表から遠ざかっている。カタールW杯出場の可能性は低いと見る。
問題は中盤と前線だ。
中盤についてはガビ、ペドリ・ゴンサレス、セルヒオ・ブスケッツの「バルサ・トリオ」の選出は固い。また、それぞれの控えとして、コケ、マルコス・ジョレンテ、ロドリ・エルナンデスが入る。
MFとFWの兼ね合いは難しい。MFが多めの場合、カルロス・ソレール、チアゴ・アルカンタラ、セルヒオ・カナーレス、ミケル・メリーノらにチャンスがある。
ただ、前線のポジション争いは熾烈だ。アルバロ・モラタ、フェラン・トーレス、パブロ・サラビア、ダニ・オルモといった選手に、ルイス・エンリケ監督は信頼を示してきた。新鋭のニコ・ウィリアムスやジェレミー・ピノ、モラタの代役としてボルハ・イグレシアスが、ここに加わるだろう。
一方、関心を集めているのがマルコ・アセンシオとアンス・ファティの扱いだ。レアル・マドリー、バルセロナとビッグクラブにいるが、所属クラブでレギュラーポジションを確保できていない。この数ヶ月のルイス・エンリケ監督の選手起用を見る限り、招集の可能性が高いのはアセンシオである。WG、CF(ゼロトップ)でプレーできて、なおかつ指揮官が求めるハードワークを代表戦では体現してきた。
ジェラール・モレノ、ミケル・オジャルサバルはEURO2020で主力だった。しかし、負傷に苦しんでおり、コンディション面で難しさがある。
また、近年、メディアを賑わせてきたのがイアゴ・アスパスの招集だ。セルタのエースとして活躍するアスパスを、ルイス・エンリケ監督は呼ばずにきた。「すべてのスペイン人選手に扉は開かれている」と公言するルイス・エンリケ監督だが、アスパスをカタールに連れて行く可能性は高くない。
本稿で挙げきれなかった選手というのは、当然、いる。そういった選手が選ばれてこそ、本当の「サプライズ」だろう。
W杯という舞台では、すべての国が、本気で勝ちにくる。そのような状況で、勝負師の心のうちを読むのは簡単ではない。驚きか、妥当かーー。最後のメンバー決定に、本質が垣間見える。