共謀罪法案にまたも国際社会から批判の声――国際ペン会長が批判声明
国際条組織犯罪防止約批准のためには必要と、あたかもそれが国際社会からの要請であるかのごとく装ってきた共謀罪法案をめぐって、国連の人権に関する特別報告者に続いて、今度は言論表現の自由の観点から、国際ペンの会長が反対声明を出した。
本日2017年6月5日午後、日本ペンクラブは浅田次郎会長自らが出席して記者会見を行い、国際ペン会長の声明を発表した。日本ペンクラブは国際ペンの日本支部にあたる組織だが、既に共謀罪法案には反対を表明している。今回出されたのは国際ペンの声明で、先週、ノルウェイで開かれた委員会の会議で協議され、会長声明として表明されたものだ。言論表現に関する国際的な感覚から見ても、いま日本の国会で審議中の共謀罪法案は危険なものと言わざるをえないことが改めて表明された。日本ペンクラブが翻訳した声明の内容は以下の通り。
《国際ペンは、いわゆる「共謀罪」という法律を制定しようという日本政府の意図を厳しい目で注視している。 同法が成立すれば、日本における表現の自由とプライバシーの権利を脅かすものとなるであろう。私たちは、日本国民の基本的な自由を深く侵害することとなる立法に反対するよう、国会に対し強く求める。
2017年6月5日 国際ペン会長 ジェニファー・クレメント》
ジェニファー・クレメント国際ペン会長はメキシコ出身の作家・ジャーナリスト。メキシコペン会長を経て、国際ペン初の女性会長として、2015年カナダ・ケベック大会代表者会議(総会)で選出され、第23代国際ペン会長に就任した。
この間指摘されているのは、共謀罪法案がテロ対策の名目で、市民の言論の自由やプライバシーを制限するものであるにも関わらず、警察権力がそれを拡大解釈して運用することへの歯止めがほとんど盛り込まれていないことだ。金田法相のあまりにひどすぎる答弁内容のみならず、政府の説明が欠陥だらけであることが指摘されているにもかかわらず、国会における数の優位をもって強行採決で押し通そうという姿勢には、世論調査でも批判の声が多いことが明らかになっている。仮にテロ対策として何らかの措置が必要だとしてもそれは一般市民への人権抑圧にならぬよう法的な歯止めをすることは当然だ。国際社会の人権感覚からしても次々と危惧が表明されているこの法案を、このままゴリ押しすることが許されるのか。
国民の意思を無視して暴走している安倍政権は、今月下旬にも法案を強行採決する意向という。主権在民という基本理念がこれほど踏みにじられている状況は、戦後これまでなかったのではないだろうか。
国際ペン会長の今回の声明や、きょうの会見の内容については、日本ペンクラブのホームページに順次公開されていく予定だ。