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KINGの今季が終わった

林壮一ノンフィクションライター
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 NBA西地区ファイナルで、ロスアンジェルス・レイカーズは1勝も挙げられずにデンバー・ナゲッツに屈した。最終戦で"KING"レブロン・ジェームズは40得点をマークし、フル出場に足りないこと4.3秒のプレー。相変わらず、今日のNBAで唯一無二の存在であることを示した。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 とはいえ、シーズンを通して孤軍奮闘と呼べる戦いぶりだった。NBA通算得点を塗り替え、コンスタントに40得点の活躍を見せても、いかんせんチームメイトが同じレベルに無い。2020年にレイカーズの一員として、自身4度目のNBAチャンピオンとなった頃からは、まったく別のチームとなってしまった。

 敢えて述べるなら、この戦力で地区ファイナルまで勝ち上がれた事の方が驚きだ。38歳の"KING"レブロンは、敗戦後「俺は、考える時間が長くなった。個人的にバスケットボールの試合を運ぶにあたって、考えることが沢山あるよ」と話した。

 スポーツ総合チャンネルのESPNは、同発言を「引退をほのめかした」ように報じたが、それは早計であろう。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 レブロンの長男であるブロニー・ジェームズは、今夏から南カリフォルニア大学に進学する。元々KINGは息子とNBAで共演することを夢の一つとしているが、チャンピオンとなるためにプレーする彼にとって、現状のレイカーズは問題が多過ぎる。つまりは、KINGを生かせるチームメイトがいないのだ。

 レブロンの語った"考えること"とは、状況を打破する策ではないのか。彼が初めてNBAチャンプとなった2012年、そして翌2013年は、クリス・ボッシュ、ドウェイン・ウェイドという頼れる仲間がいた。3度目のVを故郷に近いクリーブランド・キャバリアーズで果たした際にも、カイリー・アービング、ケビン・ラブらの相棒がいた。2020年のレイカーズには、今ほどケガに泣かないアンソニー・デイビス、そして控えながらKINGを支えるラジョン・ロンドの存在があった。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 このオフ、KINGは次の一歩を踏み出すために自身の環境について熟考するに違いない。何度か欠場した体のメンテナンスも必要だ。彼がどんな選択をして来季を迎えるか、まだまだKINGらしさを見せてほしい。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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