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韓国では国民の半数以上が「ゼロコロナ」よりも「ウィズコロナ」を選択 世論調査で判明

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
全羅南道・光州市のワクチン接種センター(光州市保健省提供)

 世界中どの国も新型コロナウイルス感染が収まらず、感染防止対策に四苦八苦しているが、韓国も例外ではなく、今後も「ゼロコロナ」を目指していくべきか、それとも「ウィズコロナ」にシフトしていくべきか、まさに分かれ道に立たされているようだ。

 文在寅政権はウイルス感染を避ける措置による社会・経済的被害を軽減するため早ければワクチン接種者が50%を超える来月(10月)から「ウィズコロナ」にシフトする方針のようだが、国民の間に賛否両論があって正式決定には至っていない。

(参考資料:韓国は10月から「ウイズコロナ」へ  参考となるか?感染拡大防止策の現況)

 文政権が検討している「ウィズコロナ」は感染者抑止よりも重症患者の管理(治療)に集中することに重点を置き、日常生活を「コロナ」以前の状態に戻し、必要な防疫規則を守りながら社会、経済活動を行っていくことを目指している。

 この韓国政府の方針に関して韓国の世論調査会社「リアルメーター」が全国の成人男女約500人を対象に3日前に行った調査によると、「賛成」が58.5%、「反対」が34.3%であった。(「わからない」が7.2%)

 「賛成」の内訳は「大いに賛成」が24.5%、「ある程度賛成」が34%となっており、また「反対」は「絶対反対」が15.1%、「ある程度反対」が19.2%となっていた。

 地域別では韓国の第2の都市・釜山と蔚山,慶尚南道を除くすべての地域で「賛成」が「反対」を上回っていた。釜山、蔚山,慶尚南道は全体で「賛成」42.2%に対して「反対」46.8%と、「反対」が4.6ポイントも上回っていた。

 全国地方自治体(市と道)17のうち感染者が最も多いのが首都・ソウルの8万2657人で、続いて首都圏の京畿道(7万4366人)、大邱(1万3924人)、首都圏の仁川(1万2472人)、そして釜山(1万1726人)、慶尚南道(1万299人)の順になっているが、蔚山は4450人と、全国で6番目に少ない。

 また、世代別では唯一20代に限って「賛成」(42.5%)が「反対」(46,5%)を下回っていた。それ以外の年代は「賛成」の方が多かった。

 「ウィズコロナ」へのシフトはワクチン接種率と重症患者率、感染者及び死亡者数、それに社会的負担等が基準となっているが、新防疫体系の基本は感染者の抑制よりも重症者の抑制、管理にある。換言すれば、「コロナ」と共存しながら社会生活を営むことになるのでそれに伴い感染防止策「社会的距離(ソーシャルディスタンス)の確保」のレベルも段階的に緩和されることになる。

 韓国は本日(9月5日)までソウル、京畿道、仁川の首都圏と釜山、大田、済州道を最高レベルの第4段階対象地域に指定し、また、その他の地域はレベル第3段階を適用していたが、これを10月3日まで約1か月間延長することにしている。但し、国民の間に感染対策の長期化による疲労感が高まっていることやワクチン接種も進んでいることなどから防疫措置を一部緩和することにしているが、「社会的距離の確保」4段階では以下のようなルールが適用されている。

 ◇友人、知人らとの私的な会合、会食は午後6時までは4人まで。午後6時以降は2人までに制限される。但し、同居家族や幼児、老人、傷害者ら等付き人が必要な場合は例外的に人数の制限なく集うことができる。ワクチン接種完了者は6人まで可能。秋冬(中秋節)連休期間(9月17~23日)は家族の集いは最大8人まで可能となる。ワクチン未接種者だけの場合は4人に限定。

 ◇飲食店・カフェの営業時間は8月23日から午後9時までとなっていたが、9月6日から再び午後10時までに戻し、ワクチン接種完了者は6人まで可能。午後10時以降はテイクアウト、デリバリーのみの営業となる。カラオケボックス、屋内スポーツ施設、映画館、インターネットカフエ、塾も夜10時まで。

 ◇遊興施設に分類される遊興·団欒酒店,ナイトクラブ、ダンスホール、パブ、·ゲームセンターなどは引き続き営業禁止となり、企業の経営活動や公務を除く全ての行事も禁止。

 ◇結婚式と葬式は家族、親族に限り49人まで参列できる。食事が出ない結婚式は99人まで可能

 ◇スポーツ競技、イベントは無観客を原則とする。集会も1人デモ以外は認められない。

 ◇学校授業は遠隔(オンライン)授業を原則とする。但し、教育部の「2学期学校運営方案」に基づき、教育欠損回復のため学校、学年によっては全体の3分の2まで登校が認められ、2学期は対面授業を拡大する。

 ◇展示会、博覧会などは事前予約制で運営が認められる。ブース常駐者は2人に限定され、PCR検査が義務付けられる。

 なお、韓国の全国感染者も死亡者も日本より少なく、9月5日現在26万1778人(日本157万4720人)、死亡者は2327人(日本1万6359人)となっている。また首都・ソウルの感染者は8万2657人(東京35万6595人)、死亡者は593人(東京2545人)となっている。

 ワクチン接種状況は日本よりも遅れており、9月5日現在1回目接種者は約2999万人(58.28%)で2回目接種完了者は約1774万人(34.58%)。日本は1回目接種者は約7346万人(58.47%)、2回目接種者は約5959万人(47.28%)である。

(参考資料:アルコールがOKなのに韓国の「コロナ」感染状況が日本よりも酷くない不思議)

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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