インド株価続伸 背景に民間気象会社の出したある予測が
インドでは、強烈な熱波が続いています。5月は一年で最も暑い月とはいえ、今年の場合は度を越しています。実際、先週は北西部のファロディで、インドの最高気温の記録を塗り替える51度を観測。これまでのところ、数百名が死亡したと伝えられています。
この状況の結果、道路のアスファルトが溶け、歩行者が歩けないという事態まで発生しています。上の動画には、溶けた道路に靴やサンダルがくっついて、脱げたり、転んだりする人々の映像が映っています。
待ち焦がれるモンスーン
インドに涼をもたらすのが、モンスーン、つまり雨季です。例年、南部が6月初め頃から始まり、徐々に北進して、最終的に6月終わり頃に北西部が雨季に入ります。
ここ2年間、エルニーニョの影響で雨の少ないモンスーンを経験しましたが、今年は、ラニーニャに移行する可能性があるため、雨が多くなると予想されています。
この予想が、ある好ましい状況を生んでいます。
それは、株価の上昇です。
25日(水曜)、インドの株価指数(SENSEX指数)が大幅続伸。前日比+2.28%で取引を終えた。これは3ヶ月ぶりのこと。理由の一つには、インドで今年のモンスーン(雨季)予想が引き上げられたことがある。民間気象会社Skymetは、今年のモンスーンの降雨予想について、105%から109%に引き上げた。
インドの年間降水量のうち7割が雨季に降り、さらに人口の7割が農業従事者であるために、インド経済はモンスーンに支配されていると言っても過言ではありません。モンスーンの雨が多いと、農業生産量が増え、さらに水力発電に関する産業も活気付くことから、経済が良くなると言われています。このため、モンスーンの雨量が多いと予想されると、株価が上がる傾向にあります。
以前、「インドの財政はモンスーンギャンブル」とも言った財相がいましたが、インドの財政はまさに、モンスーンによる賭けのようなものなのです。
近づく断食シーズン
一方で懸念されるのが、ラマダン(断食)です。今年は6月6日から始まりますが、インド中部や北部ではその頃もまだ40度を超える高温が続きそうです。そうなると、酷暑の中、昼間に水分が飲めないという最悪の事態が起こることになります。実際、去年、熱波とラマダンの時期が重なったパキスタンでは、一週間で1200人以上の死者が出ています。