【名古屋市】財を成したければ徳を積む! 名古屋の寄進王・伊藤萬蔵
先日、インスタのフォロワーさんがアップした「東寺(教王護国寺)」の画像を見て、大きな香炉に「名古屋市西区塩町 伊藤萬蔵」と刻まれているのを発見した。
現在、名古屋市西区に「塩町」はない。だが、今の名古屋にはない「塩町」の地名は、「伊藤萬蔵」という人物の名前とともに広く知られている。その理由は、全国各地の寺社の石柱や狛犬などの多くに「名古屋市(西区)塩町 伊藤萬蔵」が刻まれているからだ。
伊藤萬蔵(1833~1927年)は、米取引で財を成した名古屋の実業家。亡くなるまでに全国各地の寺社に石造物を寄進し続け、その数は1000以上ともいわれる。
名古屋市西区那古野の円頓寺商店街にある金刀比羅神社にも、「当市塩町 伊藤萬蔵」と刻まれた石柱が見られる。
伊藤萬蔵が最初に寄進した石造物は、名古屋市西区上名古屋2丁目にある宗像神社の狛犬。狛犬の台座に、文久元(1861)年の年号が刻まれている。台座には現在、ブロンズ製の狛犬が鎮座する。神社本殿の横の軒下に、伊藤萬蔵が寄進したらしい石造の狛犬が対になって置かれている。
神社や寺院を訪れた際は、鳥居の根元、狛犬の台座、玉垣の側面に注目してみよう。伊藤萬蔵の名が刻まれているのを発見すると、同郷の友と出会ったような歓喜に満たされる。