夢はロス五輪の兄弟同時出場 日本バスケを担う司令塔、テーブス流河・単独インタビュー
日本バスケットボール界期待の新星、テーブス流河がボストンカレッジ(BC)の一員として新しいスタートを切っている。
2021年に渡米以降、高校、AAUでのプレーで腕を磨いてきた現在20歳の新鋭。ここまでBCの控えPGとして11戦に出場し、堅実に貢献してきた。当初はプレータイムも限られたが、現地1月1日、3日の2試合では合計7アシスト、1ターンオーバーと冷静なパサーとしての実力を誇示し始めている。
将来的にはNCAAトーナメントへの出場、NBA入り、日本代表での活躍といった目標を胸に秘めたテーブス。日本が誇る近未来の司令塔に昨年12月中旬以降、3度にわたってじっくりと話を聞いてきた。
その一部はSports Graphic Number電子版の記事内で発表されたが、ここで再構成した一問一答を前後編でお届けしたい。前編ではカレッジ1年目のプレーの印象、今後の展望、家族への想いなどが語られている。
参考記事:「父は大谷妻・真美子さんのコーチ、兄は日本代表」河村勇輝に続くNBA入りなるか…バスケ一家で育ったテーブス流河(20歳)の可能性
パスの才能はカンファレンスでも最高レベル
――改めて振り返って、2024年はいい年でしたか?
テーブス流河(以下、LT) : 高校から大学に入学していろいろ変わった年でしたけど、バスケットボールでは自分の強みがわかって、同時に自分の直さなければいけないところもはっきりとわかりました。すごくいい年だったと思います。
――カレッジのディビジョン1でも手応えを感じている自身の強みとは?
LT : シュート、ドリブル、パスですね。自分のパスの才能はチームの中でも、ACC(アトランティック・コースト・カンファレンス)の中でもトップレベルという評価はされています。そういった持ち味を出しながら、得点力とバランスよくしていったら、いい感じになってくるんじゃないかなと思ってます。
――1月2日のマイアミ大戦ではパスワークで逆転勝利に貢献し、その能力を改めて証明しました。
LT : パスは本当に昔から考えなくてもできるようなスキルでした。今後は自分の強みであるシュートも狙いつつ、やり続けたいなと思います。
――現在の役割は控えPGですよね?
LT : そうですね。バックアップPGでアタックし、アシストをどんどん取り、加えて自分のシュートで得点するのが役割です。
――コーチから課題として指摘されていることは?
LT : ACC、ディビジョン1の中では小さい方なので、僕のディフェンス、フィジカルは他のチームから弱くみられてしまう。だからそういう部分をハードワーク、声を出すこととかでカバーしてくれというのはコーチから言われています。体重も増えてきていますけど、それだけじゃダメ。強くプレーするっていう意識がたぶん一番の課題なのかなと思います。
――高校もアメリカでプレーしましたが、ディビジョン1ではフィジカルの明白な違いを感じますか?
LT : フィジカルの違いは高校に比べたら結構大きいですね。高校もみんな身体能力はあるんですけど、ディフェンスのシステムがあまり整っていないので、けっこうアタックし易かったんです。それがディビジョン1だと、どのカレッジもシステムがちゃんとしていて、ACCのチームになるとその上で身体能力もトップレベル。そういうディフェンスに対して、どれだけ自分が強く当たれるかっていうのが一番の課題です。
――オフェンス面でも何か心掛けていることはありますか?
LT : 3ポイントシュート(3P)も強みなんですけど、チームメイトからのキックアウトとかワンモアのパスとかがなくて、3Pを打つ機会があまりなくなってしまっています。だからもう少しドリブルからの3Pとか、ピック&ロールからとか、少しずつ打っていくようにしたいですね。自分の3Pを打つチャンスを作れるような動きができるように、というところはもう少し成長させたいです。
――まだFG試投数は少ないですが、打つ流れになっていないということですね。
LT : なってないです。セットプレーが多くあるんですけど、PGが3Pを打つというセットはあまりないんです。大半のシュートチャンスを作っているのはPGなんですが、ボールがまた回ってきて3Pを打つというチャンスはあまりないので、それを自分で作らないといけません。
――ある程度はチームの方針だと思いますが、修正も必要だと。
LT : まあそうですね。ただチームの方針だからと言って自分の強みを隠すのはもったいないので、もう少し工夫したいです。
父、兄からのアドバイスを糧に
――ACCのカンファレンスゲームが始まっていますが、1月中にはデューク大、ノースカロライナ大といった強豪との対戦がありますね。
LT : 小さい頃から見ている大きいチームと対戦できるのが本当に楽しみだし、夢みたいです。
――そういった名門校と対戦したくてこのカンファレンスに来たんですよね?
LT : そうです、はい。だから本当に楽しみです。
――プレー時間が限られるゲームもありますが、特に焦りはありませんか?
LT : まだフレッシュマンですし、焦りはないです。長いシーズンなんで、チャンスはあると思っています。出たい気持ちはめちゃありますけど、プロセスだと理解した上で、あまり自分にプレッシャーをかけずに毎日努力しています。
――将来の目標は?
LT : 長い道のりですけど、NBAを目指しています。日本を代表するトップレベルのPGになりたいと思っています。
――NBAで好きな選手、参考にしている選手はいますか?
LT : 昔はスティーブ・ナッシュを見ていましたし、今ではジェイレン・ブランソンとか、トレイ・ヤングとか、小さいPGを見習ってますね。1人、この選手というのはいないですが、それぞれの選手のいいところを吸収して、という感じで自分と似たタイプの選手には注目しています。
――流河選手はバスケ一家の出身ですが、お兄さん、お父さんとは頻繁に連絡はとっているんでしょうか?
LT : とっていますよ。(ノースカロライナ大ウィルミントン校出身の)お兄ちゃんもACCではなかったにせよ、アメリカのカレッジを経験しています。(ただ、)アドバイスはお父さんがメインですね。チーム内で映像をシェアできるリンクがあって、お父さんは練習も全部見てくれています。こういうところを頑張った方がいいよ、みたいなことは言われています。最近では、“プレー時間が限られる試合でも練習と同じようにプレーしろ”と言われました。
――お兄さんは日本代表でのプレー経験があります。流河選手も日本代表への想いは強いのでしょうか?
LT : 兄弟で代表入りが目標です。お兄ちゃんと一緒にロス五輪に出られたらっていうのは前から思っていますので、日々努力して、それに近づけるように頑張ります。
――兄弟でそういった話もするんですが?
LT : お互いにそれがゴールっていうのはわかっているので、あまり深くは話さないですけど。ちょっと照れくさい?そうですね、はい。そういう雰囲気にならないと話せないことなんで・・・・・・ただ、めっちゃ仲良いですよ(笑)
インタビュー後編 移動は貸切フライト、新たな適応はお金の管理 バスケ界の新星が経験する米大学生活とは に続く