移動は貸切フライト、新たな適応はお金の管理 バスケ界の新星が経験する米大学生活とは
ボストンカレッジで活躍する日本バスケットボール界期待の新星、テーブス流河。冷静な司令塔とのインタビューの一部はSports Graphic Number電子版の記事内で発表されたが、ここで再構成した一問一答を前後編に分けてお届けしたい。後編では同じくアメリカのカレッジで活躍する日本人選手たちとの交流や、ボストンでのカレッジライフなどについて掘り下げてもらった。
インタビュー前編 夢はロス五輪の兄弟同時出場 日本バスケを担う司令塔、テーブス流河・単独インタビュー
参考記事 「父は大谷妻・真美子さんのコーチ、兄は日本代表」河村勇輝に続くNBA入りなるか…バスケ一家で育ったテーブス流河(20歳)の可能性
同世代への想いとは
――アメリカでプレーしている他の日本人選手の動向はやはり気になるものでしょうか?
テーブス流河(以下、LT) : 今、カレッジでやっている日本人選手のプレーはあまり見ないですけど、ハワイ大のジェイコブス晶はけっこう仲が良いんですよ。彼とは日本代表合宿の時に同部屋で、ナイスガイだったので、今でもちょくちょく見ています。あとは富永(啓生)選手がネブラスカ大にいたときのことは気になってましたね。富永選手も1、2年目はあまりプレータイムをもらえていなくて、今の自分と同じ状況ではあったので、(最終的にはエースになるまで)どうやってあそこまでいけたのかとか、そういうのはちゃんと見ています。
――シアトル大の川島悠翔選手、ネバダ大の山ノ内勇登ウィリアムズ選手も知り合いですよね?
LT : 2人とも知っています。彼らも日本代表合宿で一緒だったので、ちょくちょく話はして来ました。川島くんはU-15時代にも仲良くしてもらっていました。山ノ内選手はお兄ちゃんとも仲が良く、そういう繋がりもあります。
――同じ世代の選手たちにライバル意識はないものなのでしょうか?
LT : そういうのはないですね。本当にサポートし合っている感じ。お互いに頑張ろう、みたいな感じで応援しています。彼らが活躍したら嬉しいですし、モチベーションにもなります。
――才能が高く評価されるジェイコブス選手もまだハワイ大でエンジン全開というわけではありません。やはりカレッジでの適応への難しさは感じますか?
LT : そうですね。僕の場合、どう試合に出るかがまだわからないので、ベンチにいるときはメンタル的にずっと準備しています。そうやって準備しても出場機会がないこともあるんですが、そういう悔しさをバネにしなければいけません。これからも努力して、来年、再来年ともっと大きな役割をこなしていきたいというのが目標です。
――カレッジに入って、生活的に変わったのはどういった部分でしょうか?
LT : 高校の時も一人暮らしでプレップスクールに通っていたので、かなり大きく変わったということはないです。ただ、ACC(アトランティック・コースト・カンファレンス)のレベルになるとNILでお金が入ってくるので、その管理は1つ学ばなければいけなかったことです。しっかり貯金して、つかわないようにしています(笑)
趣味はプレステも「バスケのゲームはしない」
――カレッジの勉強は大変でしょうか?
LT : 最初は大変でしたけど、だんだん慣れてきて、今はもういいリズムでできています。英語はもうペラペラですし。宿題とかも含めて、毎日ちゃんと1時間くらいはしっかり勉強しています。
――バスケと勉強以外、空いた時間は何をして過ごしているんでしょう?
LT : 勉強とバスケで忙しいんで、あまり時間はないです。ただ、最近はゲームはしていますね。2ヶ月くらい前にNILのお金でプレイステーション5を買って、そればっかりやっています(笑)
――山ノ内選手もビデオゲームが好きだそうですが、普段からバスケ漬けなのでバスケのゲームはしたくないと話していました。アメリカンフットボールのゲームをやっていると。流河選手はどうでしょう?
LT : 自分もバスケのゲームはしないです。銃系とかそっちにハマっています。アメフトはめっちゃ人気ですよね。自分はアメフトは全然わからないんで、そういうゲームはできないですけど、チームメイトたちの中ではアメフトのゲームはめっちゃ流行っています。
――カレッジでの変化に戻りますが、遠征の際の飛行機移動はかなり高待遇なんですよね?ボストンカレッジはどのような感じでしょう?
LT : プライベートジェットではないんですけど、チームで飛行機を借りて貸切で移動しています。だから面倒なチェックインとかはなく、学校からバスに乗り、そのバスが飛行機の目の前まで行ってくれます。機内では食事が出ますし、1人一列は使えるんで、かなりゆったりできます。けっこうすごい経験ですよね。
――食事といえば、普段はボストンの街に出て日本食もよく食べるんですか?
LT : もうちょっと都会の方に行ったり、買い物したりしていますが、日本食はあまり食べないです。いや、もちろん日本食が恋しいですし、めちゃ食べたいですけど、あまりいい和食の店がみつからないんですよ。なんか毎回、ちょっと味が違うというか(笑)。ボストンの都会の方の和食店に一度、行ったんですけど、牛丼頼んだらお米がパサパサでがっかりしたことがあったんです。やはり作っているのは日本人ではなかったですね(笑)。まだいい店を探し中です。
――ボストンでの生活はよくわかりました。最後になりますが、ボストンカレッジでの今後の目標をお願いします。
LT : これからどんどんチャンスはあると思うので、どれだけ準備できるかが大事になってきます。チャンスが来た時に、試合に出た時に、自分の持ち味を出せるか。特にディフェンスの部分で強くできるかが大切になり、それをすればプレータイムは伸びると思っています。最終的にはレギュラーになり、試合の大事な部分で出してもらって活躍したいですね。
――2025年はどんな年にしたいですか?
LT : 今までのバスケ人生で一番成長したと言える年にしたいですね。終わった時にそう言えるとしたら、いい年なんじゃないかと。そういうマインドセットで臨んでいきたいです。