ニックスのさらなる浮上の鍵は?トレード期限に動くのか? 敏腕地元ライターが戦力分析
ニューヨーク・ニックスが上位進出の機会を伺っている。
昨季はジェイレン・ブランソンを軸にイースタン・カンファレンス2位の成績を残した古豪は昨オフ、カール・アンソニー・タウンズ、ミケル・ブリッジスといった好選手を獲得。OG・アヌノビー、ジョシュ・ハートと合わせ、ハイレベルのスターティング5を完成させるに至った。
徐々に攻守が噛み合ったチームは昨年12月15日以降、9連勝。1月3日にはウェスタン・カンファレンス首位のオクラホマシティ・サンダーに敵地で敗れたものの、依然としてイースタン3位の好位置につけている。
昨季はプレーオフでもセミファイナルに進んだニックスは、さらに大きな一歩を踏み出すための準備を整えたのか。向上するために、あとは何をするべきなのか。
アメリカ東海岸を拠点にし、HoopshypeのシニアNBAインサイダーとして活躍するベテラン記者、マイク・スコット氏(X : @MikeAScotto)に意見を求め、ニックスの今後を占ってもらった。
スタメン5人はハイレベル
2024~25シーズンのニックスはタウンズ、ブランソン、アヌノビー、ブリッジスというビッグ4が中心になったチームです。ジョシュ・ハートもさまざまな形で活躍し、ここまでの成功の根幹となってきました。
タウンズはオールNBAレベルでプレーしており、ブランソンもオールNBA、オールスター級の存在感を誇示しています。序盤戦は出遅れたブリッジスもリズムを掴むとともに3Pの精度が上がり、ハートもロールプレーヤーとしてオールラウンダーぶりを発揮しています。それに加えて、前半戦の鍵はアヌノビーが健康を保ったことでしょう。
コンディションがいいときのアヌノビーはリーグ最高級の2ウェイプレイヤー(攻守両面で優れた選手)。昨季途中にトレードで加入し、健康時のニックスはかなりの高勝率で勝ち続けました。今季もアヌノビーがタウンズとのピック&ロール、ピック&ポップで早い段階からケミストリーを生み出したのがオフェンス面で大きかったと思います。
ディフェンス面はトム・シボドーHCに率いられたチームとしてはやや低調ですが、センターのミッチェル・ロビンソンが復帰すれば大きな補強となるはずです。ニックスのスタッフはロビンソンがリム・プロテクターとして守備を牽引できると考えています。
ロビンソンは過去にプレーオフでもジャレッド・アレン、エバン・モーブリー(ともにクリーブランド・キャバリアーズ)を相手にいい仕事をし、ジョエル・エンビード(フィラデルフィア・76ers)とのマッチアップでもできる限りのことをやった経験があります。
シボドーHCはロビンソンが守備面でもたらすものを気に入っていることは間違いありません。26歳のビッグマンが復帰後、シーズン後半からプレーオフを通じて平均25分くらいプレーできるのあればチームにとっては大きいのでしょう。
大きな動きはあるのか
総合的に見て、シーズン中のニックスは非常に優れたチームとして確立される可能性があると思います。十分なタレントがいる上に、日々、ハードにプレーするチーム。イースタンは今季もトップヘビーであり、その中で最終的にはニックスがセルティックスに次ぐNo.2に浮上するのかもしれません。
もちろんすべては主力選手のコンディション次第。シボドーHCはメインのプレイヤーに多くの時間をプレーさせる傾向があるのは事実です。
ただ、ニックスには今まさにキャリアのピークにいる選手も多く、体力的にある程度の無理は効くのでしょう。昨季王者のセルティックスには敬意が払われて然るべきですが、プレーオフに第2シードで望む可能性はあると見ます。
今後、残った課題としては、選手層を厚くすることです。ランドリー・シャメットを呼び戻したのもその一環でした。ただ、ニックスの給料総額はすでにサラリーキャップを超過し、セカンドエプロンに近い位置にあるため、2月のトレード期限までに大物を獲得するトレードを画策することは考えにくいと思います。
ロビンソンをトレードの駒として利用することは可能ですが、故障明けのビッグマンに大きな需要があるとは思えないのが現実。プレシャス・アチウワは契約最終年ですし、ミニマム契約の選手も何人かはいますが、それでもロールプレーヤーを加えることはあっても、大型補強はないでしょう。やはり1月中と想定されているロビンソンの復帰こそがニックスの最大の”補強”とみなされ、その存在がXファクターになっていくのではないでしょうか。