結婚したいけれど、いい人に出会えない? 身近な既婚者を活用すべし
日経BP社から『僕たちが結婚できない理由』という電子書籍を発売した。就職氷河期を経験したことから「ロストジェネレーション」と呼ばれていた同世代(現在32~42歳)の未婚男性50人に会いに行き、お酒を飲みながら「オレたちどうして結婚できないんだろう。遊んでいるから? いやいや、お前のほうがモテるじゃん」みたいな傷のなめ合いをして楽しんでいたのが6年前(『ロスジェネ世代の叫び!ボク様未婚男』)。
その後、僕自身も身辺に変化があったので、「彼らはどうしているのだろう?」と思って再び訪ね歩き、最後の一人にたどり着いたのが今年3月のことだった(『ロスジェネ世代の男ゴゴロを徹底レポート』)。
その結果、変わらずに未婚だった男性22人だけを抜粋して、読みやすく章分けをしてまとめたのが本書だ。「記事をネットで無料で読めるのだから買う必要なくない?」というツッコミを入れたくなるかもしれないが、利便性を得るつもりで買ってほしい。「あとがき」として新たな文章も少し入れてある。
以上、宣伝でした。本稿では、未婚女性の視点から「こういう男性と出会って結婚するにはどうすればいいのか」を考えてみたい。本書で取り上げた22人はいずれも真面目に働いており、健康状態にも問題がない男性が多い。かつての日本社会ならば20代で結婚していたような人たちだ。
彼らはなぜ結婚しないのか。僕は独身者と既婚者の断絶が原因だと感じている。結婚をすると、夫婦単位で行動することが増えて、独身の友だちと会う頻度は減ってしまうのは多くの既婚者が実感していることだと思う。独身者のほうも「結婚したアイツには夜遅くに電話しづらいな。週末は予定があるだろうし。別のヤツを誘おう」という意識が働く。子どもがいる世帯へはなおさらだろう。
かつての日本社会では、同世代はともかく親や上司世代の既婚者が独身者を放っておかなかった。「そろそろ結婚したらどう? 実は千葉のおばちゃんからいい話があって……」「取引先のお嬢さんにいい人がいる。会ってみないか」と見合い話をどんどん持って来て、有望な独身者たちを結婚へと導いていった。
現在はどうだろうか。はっきり言って既婚者は萎縮している。女性部下に向かって「キミ、そろそろ結婚しないのかね」などと言っている部長は少なくとも大企業では絶滅危惧種だろう。非正規社員の増加などで職場が多様化したり、他人の世話を焼く余裕がなくなったりした面もあるが、それ以上に「お節介、セクハラ、上から目線」と断じられるのが怖いのだ。触らぬ独身者に祟りなし。というわけで、世代間でも独身者と既婚者の分断が進む。
僕は結婚願望がある独身者に「かつて親しかった既婚者を大いに活用すべき」だと勧めたい。すでに結婚している人の交友関係には、結婚願望があって共同生活に適した人物(あなたも含めて)が多いのは明らかだからだ。
ただし、萎縮している既婚者に対して、最初にアプローチすべきなのは頼む側の独身者である。数年ぶりでもいいから連絡を取り、ランチでもご馳走しながら、「結婚したい。いい人がいたらぜひ紹介してほしい」と素直に頭を下げるのだ。
家庭を築いてから旧友と疎遠になって寂しさを感じている既婚者は奮い立つだろう。夫婦や既婚者仲間でアイディア会議を開いて、あなたのためにとっておきの人を放出するかもしれない。仕事が忙しく性格は控えめなので都会の合コンや婚活パーティには出てこないような逸材である。
先達に助けを求めるのは恥ずかしいし面倒くさい。同じ立場の人と集まっているほうが心地よい。しかし、こう着した状況を打開して新たな出会いを求めるのであれば、「身近な先達」に頼るのが最も確かな道だと僕は思う。