打率.083の選手が、あと2アウトのところでノーヒッターを阻む
7月24日、パトリック・サンドバル(ロサンゼルス・エンジェルス)は、9回裏の1死までヒットを打たれなかった。
あと2アウトに迫ったノーヒッターを阻んだのは、ミネソタ・ツインズの「2番・DH」として出場していたブレント・ルッカーだ。初球のスライダーに対し、右打者のルッカーがスウィングすると、バットに当たったボールは、ラインドライブというよりは小さな弧を描きながら、ライト線の内側、前後としては一塁手とライトの間に落ちた。スタットキャストによると、打球の初速は80マイル未満、角度は20度未満、飛距離は200フィートに満たなかった。
この打席に入った時点で、ルッカーのシーズン打率は.083(36打数3安打)だった。ツインズのラインナップに並んだ9人中、打率は最も低く、安打は最も少なかった。ESPNスタッツ&インフォによると、ルッカーのシーズン打率は、1961年以降の「エクスパンション・エラ」において、9回にノーヒッターを阻止した打者(20打数以上)のなかで、一番低いという。サンドバルは、最も意外な選手にノーヒッターを阻まれた、という見方もできる。
ルッカーは、メジャーリーグ2年目の26歳だ。今シーズンは、故障者に代わって開幕直後にロースター入りしたものの、1ヵ月経たずに降格となり、この試合の前日に昇格するまでは、AAAにいた。7月22日のトレードにより、DHのネルソン・クルーズがタンパベイ・レイズへ移籍しなければ、今もAAAにいたかもしれない。
もっとも、ルッカーは「達成直前のノーヒッターを阻んだ打率0割台の選手」という、トリビアだけで終わる選手ではない(はずだ)。プロ入りは、2017年のドラフト全体35位。今シーズンはAAAの61試合で、打率は.239(218打数52安打)と低いものの、19本のホームランを打ち、出塁率.362も記録している。2年前に日本で開催されたWBSCプレミア12では、大会最多のホームラン3本を打ち、オール・ワールド・チーム(ベストナイン)のDHに選ばれた。