Yahoo!ニュース

長谷部、大迫、鎌田のように…パリ五輪メンバー外からA代表に飛躍するベスト11

河治良幸スポーツジャーナリスト
濃野公人(筆者撮影)

大岩剛監督はパリ五輪に挑む18人のメンバーとバックアップ4人を発表しました。今回は交渉が難航したオーバーエイジを一人も招集せず、さらに飛び級で東京五輪に出場した久保建英や移籍の可能性があるGK鈴木彩艶、鈴木唯人、松木玖生といった選手が外れましたが、決まった以上は「選ばれた選手がベストメンバー」ということで、是が非でも日本サッカー史上初となる金メダルを獲得して、一人でも多くの選手がA代表に食い込んで行ってほしい重いです。

その一方で、残念ながら18人に選ばれなかったタレントから近い将来、かつての長谷部誠や大迫勇也、鎌田大地、前回の東京五輪でいえば伊藤洋輝のように、A代表に入ってきそうなベスト11を選びました。なお開幕後も18人から怪我やバックアップの4人、そして移籍の可能性が理由と見られる上記3人、また後藤啓介(アンデルレヒト)や市原吏音(大宮アルディージャ)などロス五輪世代の有望選手も対象外とします。

GKは”大岩ジャパン”に招集経験もある山田大樹(鹿島アントラーズ)をチョイス。サイズがあり、しかも左利きで攻守に魅力のあるタレント。現在、鹿島では早川友基の二番手になっていますが、22歳ということもあり、十分に逆転のチャンスはありそうです。

ディフェンスはトップ定着はもちろん、チャンピオンズリーグでの飛躍も期待されるチェイス・アンリ(シュトゥットガルト)、大学からの特別指定ながらタイトで柔軟な守備と良質なビルドアップを見せる稲村隼翔(アルビレックス新潟)、左利きで強いメンタリティを持つ田中隼人(V・ファーレン長崎)の3枚に。

その一方で、個人としては可能性のあるパフォーマンスを見せていた馬場晴也(北海道コンサドーレ札幌)も、本来はこの世代のセンターバックの筆頭格。チームを立て直す原動力になって、A代表の候補に躍り出てほしいものです。2026年のマリノス加入が内定している諏訪間幸成(筑波大)も身体的なポテンシャルがずば抜けているだけに、どこまで完成度を上げてプロの世界に入ってこられるか。その中で特別指定選手としても公式戦出場に期待です。

濃野公人(鹿島アントラーズ)は3バックにしたので右ウイングバックになりましたが、右サイドバックのポジションから多彩に攻撃参加しており、ここまで5得点。守備にも長足の進歩を見せています。左はマリノス戦で衝撃的な決勝ゴールを決めた横山歩夢(サガン鳥栖)。松本山雅時で師弟関係にあった、名波浩コーチの”秘蔵っ子”でもあります。

ドリブラーの能力ということでは古川陽介(ジュビロ磐田)、俵積田晃太(FC東京)、倍井謙(名古屋グランパス)といった好タレントもいますが、FW出身ということもあり、一瞬でディフェンスの背後を取れるスピード、そして松本の先輩でもある前田大然のように、スプリントを繰り返せる身体能力はひとつ抜けたものがあり、今回18人に選ばれた平河悠(FC町田ゼルビア)のライバルになっていくポテンシャルがあります。

ボランチも有望な選手が多く迷いましたが、やはり日本からバイエルンが見出した才能であり、欧州の環境で成長を続ける福井太智(ポルティモネンセ)とボールを奪う能力にかけてはこの世代で一二を争うレベルにあり、左足の展開力もある田中聡(湘南ベルマーレ)というコンビになりました。

今回は惜しくも選外となった松岡大起(アビスパ福岡)や現在はセンターバックにも挑戦している吉田温紀(名古屋グランパス)、山根陸(横浜F・マリノス)、磐田から武者修行に出たJ3で圧倒的な存在感を見せる藤原健介(ギラヴァンツ北九州)などはアンダー世代からの期待も大きく、ここからの成長次第で、いくらでもA代表に食い込むチャンスがある選手たちでしょう。また現在は右サイドバックがメインですが、植村洋斗(ジュビロ磐田)もボールを運ぶ能力が高く、ボランチとして面白いタレントです。

2シャドーの二列目は高精度の左足で違いを生み出す武田英寿(浦和レッズ)と驚異的な機動力とボックス内の勝負強さを併せ持つ植中朝日(横浜F・マリノス)のセット。福田翔生(湘南ベルマーレ)もスピードと思い切りの良さは目を見張るものがあります。さらにプレー精度が高まってくると、大きく道がひらけてくるかもしれません。J2に目を向けると代表基準をよく知る森山佳郎監督のもとで成長著しい相良竜之介(ベガルタ仙台)は楽しみな”大外枠”として名前をあげておきます。

FWは伸びしろに期待して内野航太郎(筑波大)に。すでにJ1でも通用する決定力を備えていると思いますが、かつての三笘薫のように、大学の環境ですくすく成長しながら、ただ、早めのプロデビューにも期待したいところです。そのほか木村勇大(東京ヴェルディ)と染野唯月(東京ヴェルディ)、小田裕太郎(ハーツ)、福田師王(ボルシアMG)など、”大岩ジャパン”にも絡んだことのある選手たちは大迫勇也のように、五輪のメンバー外からA代表に入ってくるように奮起してもらいたいですが、驚きを与えるような選手のブレイクに期待しています。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

河治良幸の最近の記事