大物が並ぶWBCのUSAチームにいる「無名の選手」は何が凄いのか〈野手編〉
USAのメンバーとして、来年のWBCに出場することを表明している選手には、キャプテンを務めるマイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)を筆頭に、大物がズラリと並ぶ。
野手14人のオールスター・ゲーム選出は、計45度を数える。平均すると3.2度だ。
そのなかで、カイル・タッカー(ヒューストン・アストロズ)とセドリック・マリンズ(ボルティモア・オリオールズ)の選出は、1度だけ。ウィル・スミス(ロサンゼルス・ドジャース)とボビー・ウィットJr.(カンザスシティ・ロイヤルズ)は、オールスター・ゲームのメンバーに選ばれたことがない。メジャーリーグのファンには知られているかもしれないが、他の10人と比べると、無名と言っていい。
とはいえ、この4人も、USAのロースターに名を連ねるのに、ふさわしい選手だ。オールスター・ゲームの選出が皆無あるいは少ないのは、まだ若く、キャリアが短いのも理由だろう。
タッカーは、昨シーズンも今シーズンも、ホームランを30本ずつ打ち、それぞれ、14盗塁と25盗塁も記録している。ここ2シーズンの計60本塁打は17位タイ、計39盗塁は16位だ。タッカーの他に、どちらもトップ20にランクインしている選手は、80本塁打&37盗塁の大谷翔平(エンジェルス)、71本塁打&40盗塁のマーカス・シミエン(現テキサス・レンジャーズ)、65本塁打&47盗塁のホゼ・ラミレス(クリーブランド・ガーディアンズ)しかいない。
マリンズは、昨シーズン、30-30を達成した。今シーズンは、ホームランこそほぼ半数の16本にとどまったが、盗塁は2シーズン連続30以上。ここ2シーズンの計64盗塁は、スターリング・マーテイ(現ニューヨーク・メッツ)の計65盗塁に次ぐ。両シーズンとも30盗塁以上は、マリンズとトミー・エドマン(セントルイス・カーディナルス)だけだ。また、センターを主に守り、ここ3シーズンに記録したOAA+24は、外野手の1位タイに位置する。
スミスは、ここ2シーズンとも100試合以上でスタメンマスクをかぶりつつ、25本塁打と24本塁打を記録している。ここ2シーズンの計49本塁打は、サルバドール・ペレス(ロイヤルズ)より22本少ないものの、それでも、このスパンに捕手出場800イニング以上の51人のなかで、2番目に多い。また、フリースウィンガーのペレスと違い、スミスは選球眼も優れている。2021年は出塁率.365、2022年は.343を記録した。
ウィットJr.は、今シーズンの開幕戦でデビューし、4月は0本塁打ながら、翌月以降に20本のホームランを打ち、シーズン30盗塁にも到達した。主に遊撃を守り、20-20を記録したルーキーは、それまで、1997年に30本塁打と22盗塁のノマー・ガルシアパーラしかいなかった。
なお、この4人のうち、マリンズ以外の3人は、ドラフトで上位指名を受けている。彼らの指名順位は、タッカーが2015年の全体5位、マリンズが2015年の13巡目・全体403位、スミスが2016年の全体32位、ウィットJr.は2019年の全体2位だ。
こちらでは、前回に続き、今回も出場を表明している2人について書いた。