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1889年創業の老舗中国料理店『蓮香楼』が東京・銀座にオープン 名物は飲茶、広東ダック、月餅

中島恵ジャーナリスト
『蓮香楼』の点心コース料理(写真提供『蓮香楼』、以下同)

中国広東省広州市で1889年に創業し、香港にも店舗がある中国料理店『蓮香楼』(れんかろう)が9月末、東京・銀座にオープンした。中国や香港以外では初の海外出店となり、話題になっている。

『蓮香楼』といえば中国では名店中の名店といわれる老舗レストランのひとつだ。

同店の名物、広東式月餅
同店の名物、広東式月餅

同店は中国政府から伝統的な食文化を守るための国家認定印を授与されており、各界の有名人も広州に立ち寄った際は必ずといっていいほど足を運ぶと言われる。

とくに有名なのは中国を代表する菓子で、主に中秋節のときに食べる月餅だ。

中国には地方によってさまざまなタイプの月餅があるが、同店の月餅は皮がやわらかい広東式で、現在では定番となっている蓮の実のあん入り月餅は同店が発祥と言われる。

点心の代表的メニュー、エビ餃子
点心の代表的メニュー、エビ餃子

このほど東京にオープンした同店でも、中国同様、伝統的な広東料理や点心、中華菓子を提供する。

おススメのメニューは広東料理の「焼味」(焼き物)と呼ばれる広東式ダック、叉焼(チャーシュー)など。広東式ダックは北京ダックと異なり、皮だけでなく、肉も食べるのが特徴。

一品料理では、車エビの広東スパイシー炒め、生ホタテのXO醤炒め、フカヒレと衣笠茸の上湯蒸し、潮州揚げ豆腐、牛肉のライスヌードル炒め(乾炒牛河)など。

広東式ダック
広東式ダック

広東地方で発達した飲茶の点心はエビ餃子、海鮮春巻、ホタテシューマイ、大根餅、チャーシュー包などを揃えるが、ほかにポルチーニ茸を使った薬膳焼売、高級食材のあわびを使用したあわび餃子など、他店にはない珍しいメニューもある。

ホタテシューマイ
ホタテシューマイ

ランチは定食(麻婆豆腐、香港チャーハン、広東焼き物ご飯など)が1200円からで、点心ランチコースは全7品で2880円(オープン記念で期間限定)とお得。

ディナーはアラカルト以外に点心、広東地方で有名なデザート(エッグタルト、楊枝甘露など)もあり、コースは6000円~1万8000円までとなっている。

夜のコースメニューの一例
夜のコースメニューの一例

同店をオープンさせたのは六本木の雲南料理店『御膳房』、銀座の湖北料理店『珞珈壱号』など数々の中国料理店を経営する東湖(東京・港区)だ。このたび、広州の『蓮香楼』とライセンス契約を締結した。

同社代表取締役の徐耀華氏は医食同源、美味求真などをコンセプトに掲げ、長年、中国の食文化の魅力や多様性を日本に紹介しているだけでなく、中国文化と和モダンを融合させた内装などにも力を入れている。

徐氏は「東京にもさまざまなタイプの中華料理店が増えてきた。本場中国の広東料理の名店である『蓮香楼』の味も、ぜひ多くの方々に楽しんでいただきたい」と話している。

落ち着いた雰囲気の店内
落ち着いた雰囲気の店内

ジャーナリスト

なかじま・けい ジャーナリスト。著書は最新刊から順に「日本のなかの中国」「中国人が日本を買う理由」「いま中国人は中国をこう見る」(日経プレミア)、「中国人のお金の使い道」(PHP新書)、「中国人は見ている。」「日本の『中国人』社会」「なぜ中国人は財布を持たないのか」「中国人の誤解 日本人の誤解」「中国人エリートは日本人をこう見る」(以上、日経プレミア)、「なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?」「中国人エリートは日本をめざす」(以上、中央公論新社)、「『爆買い』後、彼らはどこに向かうのか」「中国人富裕層はなぜ『日本の老舗』が好きなのか」(以上、プレジデント社)など多数。主に中国を取材。

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