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冨安健洋のボローニャ移籍、伊メディアの反応は? 誤報や賛辞、「キャプ翼のような動画」も話題

中村大晃カルチョ・ライター
6月5日、トリニダード・ドバゴ戦での冨安健洋。伊メディアは移籍をどう報じた?(写真:田村翔/アフロスポーツ)

長友佑都がインテルを離れて以来となる11人目のセリエ日本人選手誕生――カルチョを愛する日本のファンにとって、冨安健洋のボローニャ加入はうれしい知らせだ。

では、ボローニャの獲得発表を、地元メディアはどのように伝えただろうか。

◆中田英寿の存在を忘れた?

冨安はボローニャにとって2人目の日本人選手となる。“パイオニア”はもちろん、中田英寿氏だ。2003-04シーズンの後半戦、半年にわたってボローニャでプレーしている。

だが、『コッリエレ・デッロ・スポルト』紙電子版はそれを失念していたようだ。冨安加入の記事で「ボローニャ初の日本人選手」と紹介してしまった。なお、コメント欄では、あるユーザー(国籍不明)が「ナカタはスウェーデン人だったのか?」と突っ込んだ。

◆大きく取り上げたスカイ・スポーツ

周知のように、冨安のボローニャ移籍は以前から濃厚と報じられていた。特に冨安がメディカルチェックを済ませて以降、イタリアの主要メディアは移籍が事実上決まったものとして扱ってきた。それだけに、正式発表を受けて大々的に取り上げたメディアはほとんどない

その中で、『スカイ・スポーツ』は「ボローニャの新たなDF、日本人の冨安とは誰なのか」と、経歴やプレースタイルを紹介。日本の若きタレントに賛辞を寄せた。

同メディアは、冨安が「日本で有数のタレントと考えられており、国際舞台でも将来的有望な選手のひとりと評価されている」と称賛。「(冨安とは誰なのか)知らない人が多いのは当然だが、ユースを注意深く見ている人なら名前を聞いたことがあるはずだ」と続けている。

「ボローニャの新戦力は、とても恵まれた体格(188センチ)で、モダンなDFのプロトタイプとなるセンターバック。もちろんセットプレーで強く、空中戦は武器だが、それだけではない。冨安はビルドアップでも非常に有能で、守備陣における真のレジスタとして考えることができる」

「その高さにもかかわらず、スピードも見事で、両足を使え、非常に柔軟。際立った戦術的インテリジェンスのおかげで、4バックでも3バックでも起用できる。その戦術的知性は、すぐにシニシャ・ミハイロビッチ監督にとって決定的となり得るだろう」

◆クラブの紹介動画が話題に

また、特に話題となったのが、SNSでのボローニャの冨安獲得発表だ。「ようこそ、冨安健洋!」と日本語も添えられた投稿で、アニメーションをふんだんに使った動画を披露している。

SNSでは、冨安を歓迎するメッセージに加え、動画に対する賛辞も寄せられた。移籍関連で著名なジャンルカ・ディ・マルツィオ記者も、ツイッターで「見て楽しむに値する」と称賛している。

『スポーツ・メディアセット』も「キャプテン翼のような紹介」「日本のテレビゲームとキャプテン翼のアニメをミックスしたような動画をつくって歓迎」と伝えた。

実際、ツイッター投稿には2700を超えるリツイートや8000を上回る「いいね」がついており、ポジションを争うことになる同じ新加入のステファノ・デンスビル獲得時と比べ(リツイートが70超、「いいね」が250超)、その差は歴然だ。

◆「誰だ?」の声もあるが…

ただ、冨安本人の知名度はイタリアで決して高くないだけに、一部ファンから「誰だ?」といった厳しい声も寄せられているのも事実だ。

早ければ15日にもキャンプに合流すると言われる冨安は、首脳陣やファンの信頼を勝ち取れるか。『スカイ』は、記事をこう締めくくっている。

「(テクニカル部門幹部のワルテル・)サバティーニは疑わなかった。ミハイロビッチは迎え入れる準備を整えている。そして冨安は、ボローニャの心をつかみたいと望んでいる」

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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