サービス開始20年を迎えたアマゾン、通年売上1,000億ドル、顧客3億人を突破
アマゾンは2016年1月28日、2015年第4四半期(10~12月)の決算を発表した。世界規模でクリスマスシーズだった同時期の売上高は前年同期から22%増の357億4,700万ドル。純利益は125%増の4億8,200万ドルだった。第2四半期(4~6月)に9,200万ドルの純利益で黒字転換してから3四半期連続の黒字となり、アマゾンの経営が安定してきた。営業利益は88%増の11億800万ドルだった。
売上の60%は今でも北米市場。アメリカ市場とAWSに依存するアマゾン
アマゾンの売上高構成比は、北米市場(特にアメリカ)での売上が約60%である。この構成比に大きな変更はない。海外市場はイギリス、ドイツ、日本、フランス、中国、イタリア、スペイン、インド、メキシコ、ブラジル、オーストラリアの11か国を合わせても売上高構成比は30%程度で大きな変更はない。1か国単位で見ると、アメリカ市場がアマゾンにとって非常に重要であることがわかる。この構造も長いこと変わっていない。
アマゾンの黒字転換にも大きく寄与し、成長が著しいのは、クラウド事業のAmazon Web Services(AWS)である。売上高は前年同期比69%増の24億500万ドル、営業利益は同186%増の6億8,700万ドルで、アマゾン全体の売上構成は7~8%程度だが、その勢いはすごい。
2015年通年の売上高は前年比20%増の1,070億600万ドルで純利益は5億9,600万ドルだった。2014年は純損失2億4,100万ドルだったことから通年でもアマゾンの経営は安定してきた。
▼2015年第4四半期の売上と売上高構成比率と特徴
▼2015年第2四半期から第4四半期までのセグメント別の売上と売上高構成比率
サービス開始20年を迎えたアマゾン
アマゾンはアメリカでサービスを開始しして20周年を迎える。
ジェフ・ベゾスCEOは「20年前、自分で商品を郵便局に運びながら、いつの日かフォークリフトを使えるような会社になることを夢見ていた。2015年にアマゾンは通年売り上げ1,000億ドル突破を達成し、3億人のお客様が利用している。まだまだ市場には多くのチャンスがあり、いつもスタート地点にいるようなものだと感じている」とコメントした。
アマゾンはインターネットが登場しつつあった1995年7月からAmazon.comとしてサービスを開始し、現在ではアメリカだけでなく世界中のインターネットショップの代名詞になっている。
そのアマゾンはドローンによる配送実験やパーソナルアシスタント「Echo」、リアル書店の開設など常に新しいことにチャレンジしている。チャレンジの中から電子書籍キンドルやプライムサービス、クラウドのAWSなど既に実用化され浸透されたサービスも多い。またスマートフォン「fire phone」のように明らかに失敗した製品もある。さらにベゾスは有人宇宙飛行を目指してブルーオリジンも設立している。
今回の決算発表でも多くのアナリストが予想を下回っているとアマゾンを叩く記事が目立つが、アマゾンが世界に先駆けてチャレンジをしていることも多いのだ。もう少し長期スパンで同社の取組みを見てもいいと思う。
ベゾスCEOの20年を迎えてのコメント本文は以下の通り。