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同郷で兄弟弟子の翠富士と熱海富士のゆるい対談 大相撲3月場所を前に意気込みはそろって「三役昇進」

飯塚さきスポーツライター/相撲ライター
伊勢ヶ濱部屋の兄弟子である翠富士(写真左)と弟弟子の熱海富士(写真:筆者撮影)

昨年9月、11月と2場所連続で優勝争いに絡んだ熱海富士と、同部屋(伊勢ヶ濱部屋)で同郷(静岡県)、同じ飛龍高校出身の兄弟子である翠富士。そんな二人のゆるい対談が実現。出会いから互いの第一印象、兄弟弟子としての普段の交流などについて伺った。

同郷の兄弟弟子 互いの第一印象を語る

――お二人の出会いはいつ頃でしたか。

翠富士 自分が高3、熱海富士が小6くらいですかね。うちの高校が熱海富士のクラブに胸を出しに行って、大きい子がいるなあと思ったのが最初です。自分よりでかかったですからね。あまり喋らない子で、何を言っても「はッス」って言っていました。

熱海富士 先輩たちはみんな大きくて、そのなかの一人で、話しかけてくれたなっていうのを覚えています。しかもキャプテンでしたから、気にかけてくれたんだな、優しいお兄さんだなという印象でした。

――のちに熱海富士関も飛龍高校へ進学しました。

熱海富士 静岡で相撲をやっている人はだいたい飛龍高校に行くので、地元の先輩と同じ道をたどっているなというのはありました。関取は、伊勢ヶ濱部屋に入ったきっかけにもなりました。

翠富士 朔太郎(熱海富士の本名)が高校生の頃、もちろん存在は知っていたんですけど、そこまで特別関わりはありませんでしたね。メシ行くとか、そういった交流が生まれたのは彼が部屋に入ってきてからです。ただ、後輩だからって特別目をかけてあげようとか、そういったことはあまりなかったように思います。

――熱海富士関が入門してきたときの印象は。

翠富士 少し喋れるようになってるやん、って思いました(笑)。もちろん、高校の後輩が入ってきてくれたらうれしいし、可愛がってあげようとは思いますけど、そこまでは、といった感じですかね。特別扱いはしないというか。

――熱海富士関はいかがですか。

熱海富士 場所中に声をかけていただくことも多いし、(昨年9月場所の)優勝決定戦のときも、花道まで来てくださって、静岡の地元の先輩が気にかけてくれるのはうれしいですね。

先の大相撲初場所では、そろって横綱土俵入りを務めた。太刀持ちは熱海富士(写真右)、露払いに翠富士(写真:筆者撮影)
先の大相撲初場所では、そろって横綱土俵入りを務めた。太刀持ちは熱海富士(写真右)、露払いに翠富士(写真:筆者撮影)

微笑ましくじゃれ合う二人の掛け合い

――入門後、メキメキと力をつけてきた熱海富士関の成長ぶりを見ていて、翠富士関はどんな思いでしたか。

翠富士 (番付を)抜かれないように頑張ろうと思っていたんですけど、抜かれたんで、稽古場でケガさせてやろうかなって(笑)。

――やめて(汗)。素直でいい子ですからね。

翠富士 いや、これビジネスっすよ。書いておいてください。

熱海富士 そんなわけないじゃないですか。

翠富士 いやいや、相当っすよ。いつも「しんどいぜ~」って言っていますからね。

熱海富士 だとしたらすごいですよ(焦)。

翠富士 自分はもう、こいつのいろんな面を見ているので。「ダーク朔太郎」も。

熱海富士 それはまあ、ダークな部分も翠富士関に引き出されたというか。

翠富士 そうだね。うれしかった?

熱海富士 …ごっちゃんし。

――(笑)。普段のお二人の交流は。

翠富士 喋りかけても無視されるんですよ、この間も、用事がなければ一緒にメシ行こうよって言おうとして電話かけたのに、返ってこなくて。

熱海富士 いやいや…そんなことないです。

土俵入りが終わり、偶然同じポーズをして花道をはけてきた二人(写真:筆者撮影)
土俵入りが終わり、偶然同じポーズをして花道をはけてきた二人(写真:筆者撮影)

――いつもこうしてじゃれているんだね(笑)。

翠富士 いや、でも場所中もあまり喋ってくれないので…。

熱海富士 喋って「くれない」って(笑)。

翠富士 部屋の稽古場にもいないし…。

熱海富士 自分、毎日稽古場下りているんで。

――大丈夫、知っています(笑)。地元での盛り上がりはいかがですか。

翠富士 自分はあまり帰らないのでわかんないですけど、朔太郎は結構帰っているよね。

熱海富士 はい、自分は熱海で近いので、日帰りでごはんを食べに行くこともあります。地元の盛り上がりはすごいですね。熱海駅って入口がひとつしかないんですが、そこを通ると皆さん声をかけてくださいます。

――いいですね。では、お二人とも来場所以降への意気込みをお願いします。

翠富士 先場所は二人ともコケちゃったので、次からは頑張ろうと思っています。目標は三役。まずは上がりたいですね。

熱海富士 自分も三役に上がりたいです。静岡出身力士って、もし三役に上がったら江戸時代以来になるらしいので、激アツです。頑張ります。

スポーツライター/相撲ライター

1989(平成元)年生まれ、さいたま市出身。早稲田大学国際教養学部卒業。ベースボール・マガジン社に勤務後、2018年に独立。フリーのスポーツライター・相撲ライターとして『相撲』(同社)、『Number Web』(文藝春秋)などで執筆中。2019年ラグビーワールドカップでは、アメリカ代表チーム通訳として1カ月間帯同した。著書に『日本で力士になるということ 外国出身力士の魂』、構成・インタビューを担当した横綱・照ノ富士の著書『奈落の底から見上げた明日』。

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