30代のもやもや。「抑制」される50代に向けて今からできること
●今朝の100円ニュース:公務員給与 中高年抑制(読売新聞)
僕はいま37歳。来年の春を迎えると、大学を卒業して社会人になってから15年目に入る。「あっという間だった」とも思わないけれど、長くキャリアを積み重ねてきたという実感もない。かすかに成長したのは人との付き合い方(腹を立てたりいじけたりすることは以前より少なくなったと思う)ぐらいで、ライターとしてのスキルはほとんど向上していない。10年前ぐらいに書いた記事を読み返しても、取材力も文章レベルも今と変わらないように感じる。
この先どうなるのかと不安になるときがある。さらに15年後、僕は52歳になっているのだ。ある日に劇的にスキルアップして、沢木耕太郎みたいな文章が書けるようになるとは思えない。相変わらずの生活をできればまだいいけれど、専門分野を持たないライターにいつまで需要があるのだろう。ちょっとでも腰が重くなったら終わりだな。たまには健康診断に行かなくちゃ……。
今朝の読売新聞によると、中高年の国家公務員給与の伸びが抑制されるらしい。民間企業の動きに合わせたものだという。給料が「伸び」るだけマシな気もするが、15年後の見通しの悪さに関してはフリーライターもサラリーマンも同じなのだ。
見通しの悪さは仕事だけじゃない。白髪が増えてきて脂肪が落ちにくくなったり、子育てに熱中している友だちと疎遠になったり。20代の頃のように夢中で働き恋することが少なくなり、一方では社会的な責任が重くなる30代。立ち止まるわけにもいかないけれど(3年間ほど立ち止まった僕は仕事が激減して借金して離婚しました)、もや~とした気持ちが晴れることはない。
直りの悪い口内炎のように、小さいけれど気になる悩みや不安。いちいち書き出して読者と共有することで解決を探るという趣旨で、1年半にわたって「30代のもやもや」という連載をしてみた。仕事だけでなく、友だち・異性・子ども・お金・遊び・成長・外見などのテーマを細かく見つめ、識者インタビューもした。「これでズバリ解決!」という方策は見つからなかったけれど、何となくわかったことがある。環境設定が何より大事、ということだ。
寝具から住む部屋、仕事仲間に至るまで、人には千差万別の「環境」がある。その環境を少し変えるだけで、深刻だと思い込んでいた悩みが溶けるように消えてしまうことが少なくない。
僕は以前から寝つきが悪く、なかなか眠れない理由は仕事や人間関係で問題が山積しているからだと思っていた。寝床であれこれ思い返すと、小さな叫び声を上げてしまうほどの恥ずかしさや悔しさに駆られることもある。
しかし、引っ越しを機にマットレスと枕を買い直し、寝る前に軽いストレッチをするようにしたら、ほとんど何も考える間もなく眠れるようになった。悩んでいたから眠れなかったのではなく、眠れなくて暇だから悩みを作り出してしまっていたのだ。バカバカしい……。
仕事環境を寝具のように変えるのは難しい。でも、一緒に食事をする友だちや行きつけにする店ぐらいは選ぶことができる。住む街や家を決められる機会もたまに訪れる。ある場所の人間関係では重大な問題だったことも、別の場所に移ると「どうしてあんなことに苦しんでいたのか」と笑えてくることもある。それだけ人間は環境に左右される生き物なのかもしれない。
30数年の体験を生かして、無駄に悩まずに済む環境にたどり着きたい。給料は抑制されても晴れやかでご機嫌な中高年になるために。