1960年以来もっとも高温の「オーストラリア建国記念日」シドニー空港では41.6度
今からさかのぼること233年前の今日、イギリス艦隊が初めてシドニー湾に到着しました。1月26日はオーストラリアの建国記念日である「オーストラリア・デー」として国民の祝日とされています。
しかし一方で、先住民のアボリジニ―にとっては「侵略の日」でもあり「喪に服す日」でもあります。立場によってさまざまな意味を持つ特別な日です。
今年は、天気の側面からも特別な一日となりました。シドニーなどで記録的に暑いオーストラリア・デーとなったのです。
61年ぶりに暑い記念日に
どれほど暑かったのでしょうか。
まずシドニー空港では41.6度まで気温が上昇し、1月下旬の平均気温を10度も上回る高温となりました。
またシドニー天文台付近では37.1度で、1月26日としては1960年以来もっとも高温、かつ観測史上3番目に暑かったと、ドメンシーノ氏が伝えています。これまでの記録は1960年の41.1度だったということです。
うだるような暑さに電力消費が急増し、シドニーのあるニューサウスウェールズ州では一部で停電が発生しました。
(↑海水浴客でにぎわうシドニーのボンダイビーチ)
今後住めなくなるかも?
昨春はオーストラリアの観測史上もっとも高温の春(9~11月)となりましたが、このところ特に気温上昇が激しいのが、南東部や西部の地域です。
こちらの図は同国の年ごとの気温偏差を表しています。2000年以降は著しい気温差を表す赤色が目立つようになっていることが分かります(1961-1990年の平均と比較)。1910年の観測開始以降、国内の年平均気温は1.4度ほど上昇しています。
中でも、ヒートアイランド現象に加え砂漠からの熱風が吹き抜ける位置にあるシドニー西部の郊外では、特に気温上昇が顕著です。
今後も気温上昇が予想され、2090年までに35度以上の高温日数が5倍に増加すると、気象局は予想しています。
さらにニューサウスウェールズ大学のサンタモリス教授によると、今後20年から30年の間にシドニー郊外の多くの場所が生存不能になる可能性があるといいます。
2世紀前にイギリス艦隊が到着してから、シドニー周辺の環境は大きく様変わりしてしまっているのです。