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【追記あり】ゴーン氏保釈条件で「ネット使用不可」は誤報 条件は「ログの提出」

楊井人文弁護士
ゴーン氏の再逮捕を受け、外国特派員協会で記者会見する弘中惇一郎弁護士(4月4日)(写真:つのだよしお/アフロ)

 日産元会長のカルロス・ゴーン氏=会社法違反などで起訴、無罪主張=が3月6日に保釈された際、「インターネットへの接続が禁止されている」という保釈条件が付いているとの報道がなされていたが、誤報だとわかった。弁護人の弘中惇一郎弁護士が昨日(4月4日)の外国特派員協会の記者会見で、インターネットの使用について「全然、使えると思うし、使えないことにはなっていない」と指摘。改めて5日、弘中弁護士に確認したところ、「インターネットの使用制限については保釈の条件に入っていない」と説明し、「誤報です」と断定した。【追記あり】

ゴーン氏が保釈中に開設したツイッター(2019/4/3)
ゴーン氏が保釈中に開設したツイッター(2019/4/3)

 ゴーン氏は再逮捕前日の3日、ツイッターを開設し、11日に記者会見を開くと予告。これが保釈条件に違反するのでは、という指摘が一部にあがっていたが、保釈条件に違反して取消しになったという事実は確認されていない。そもそも保釈条件に関する当初の報道が間違っていたことになる。

 弘中弁護士によると、裁判所の保釈決定には、パソコンや携帯電話は事務所で用意したものを使用しなければならず、使用履歴(ログ)の提出も必要という条件が付されているが、インターネットの使用に関する文言は全く入っていないという。裁判所へのログの提出が必要なことから、ゴーン氏がパソコン等でインターネットを使用した場合は、その履歴が裁判所の知るところになるとみられる。

 3月6日に東京地方裁判所が保釈を認める決定をした際、NHKニュースは「インターネットに接続できないパソコンや携帯電話を使用することなど、事件の関係者と接触できないようにするさまざまな条件がつけられたということです」と報道。他の主要メディアも軒並み、「パソコンや携帯電話によるインターネットへの接続やメールの禁止」(時事通信)、「パソコンが使えるのは弁護人の事務所に限られ、インターネットも使えない」(朝日新聞)、「携帯電話やパソコンの使用もインターネットに接続できない機器に限られる」(読売新聞)、などと報じていた。 

【追記】

 ゴーン氏の弁護人の高野隆弁護士が6日、ブログで、保釈条件について詳細な文言を公表した。パソコンや携帯電話は弁護人が提供したものの使用に限られているが、インターネットを使用したときのログの裁判所への提出を求めており(13項)、インターネットの使用が禁止されていないことが明確となった。

 NHKは、誤報ではないかとの指摘に対し、6日午後「お問い合わせについて回答いたします。NHKでは、取材に基づいて報道しています。」と回答し、誤報かどうかの立場を明確にしていなかった。(2019/4/7 23:10)

弁護士

慶應義塾大学卒業後、産経新聞記者を経て、2008年、弁護士登録。2012年より誤報検証サイトGoHoo運営(2019年解散)。2017年からファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)発起人、事務局長兼理事を約6年務めた。2018年『ファクトチェックとは何か』出版(共著、尾崎行雄記念財団ブックオブイヤー受賞)。2022年、衆議院憲法審査会に参考人として出席。2023年、Yahoo!ニュース個人10周年オーサースピリット賞受賞。現在、ニュースレター「楊井人文のニュースの読み方」配信中。ベリーベスト法律事務所弁護士、日本公共利益研究所主任研究員。

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