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前半戦をポストシーズン圏内で終えても、安心はできない。4チームに1チームはポストシーズンを逃している

宇根夏樹ベースボール・ライター
イチロー(左)とベン・ギャメル/シアトル・マリナーズ Jul 11, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 前半戦をポストシーズン圏内で折り返しても、安心はできない。

 各リーグ5チーム、地区優勝3チームとワイルドカード2チームがポストシーズンに出場するフォーマットは、2012年に始まった。以降の6年間で、前半戦を終えてポストシーズン圏内にいた5チームが、揃ってポストシーズンに進出したのは、2016年のア・リーグだけだ。それ以外の年は、両リーグとも1チームか2チームが入れ替わっている。2016年のナ・リーグは入れ替わりこそなかったものの、折り返し地点ではワイルドカード・レースの2位タイにいたマイアミ・マーリンズが、ポストシーズンを逃した。

 合計すると、前半戦の終了時点でポストシーズン圏内にいた61チームのうち、実際にポストシーズンへ進出したのは、75.4%の46チームだ。4チームに1チームが、ポストシーズンを逃している。前半戦に地区首位の36チームに限っても、22.2%の8チームがポストシーズンに進出できなかった。こちらは、5チームに1チームということになる。

 昨シーズンの場合、ア・リーグはタンパベイ・レイズ、ナ・リーグはミルウォーキー・ブルワーズがそうだった。レイズはワイルドカード・レースの2位(地区3位)、ブルワーズは中地区の首位で折り返した。だが、レイズは前半戦の貯金3を吐き出したのみならず、最終的には2つ負け越し、ワイルドカード2枠目のミネソタ・ツインズに5ゲーム差をつけられた。ブルワーズは前半戦から貯金を2増やして10としたものの、シカゴ・カブスに逆転され、ワイルドカードも1ゲーム差で逃した。

 今シーズンの状況は、両リーグで大きく異なる。

 ナ・リーグの15チームは、勝率.600以上も.400未満も皆無。11チームが100ポイント以内(.591~.495)にひしめき合っている。特に、西地区は4位のサンフランシスコ・ジャイアンツでさえ、首位のロサンゼルス・ドジャースと4ゲームしか離れていない。

 一方、ア・リーグは4チームが勝率.595以上を記録し、3チームは.350未満――うち2チームは.300未満――に沈んでいる。クリーブランド・インディアンズはリーグ6位の勝率ながら、中地区で唯一勝ち越していて、他4チームに7.5ゲーム以上の差をつけている。ただ、勝率リーグ4位でワイルドカード2枠目にいるシアトル・マリナーズとすぐ下のオークランド・アスレティックスは、たったの3ゲーム差だ。

 まったく予断を許さないナ・リーグだけでなく、ア・リーグでも逆転が起きてもおかしくない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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