オートバイのあれこれ『“X”、それは究極。』
![](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/rotti/article/01812033/title-1718985324497.jpeg?exp=10800)
全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。
今日は『“X”、それは究極。』をテーマにお話ししようと思います。
1969年(昭和44年)に『CB750FOUR』を発売し、世界的な成功を収めたホンダ。
![▲CB750FOUR〈1969/画像引用元:本田技研工業〉](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/rotti/article/01812033/image-1718985338818.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
しかし、70年代に入るとホンダ以外の二輪メーカーも高性能なオートバイとともに台頭し、さすがのホンダも“ナナハン”ばかりに頼ってはいられなくなってきました。
また、当時ホンダはアメリカ(北米)市場に傾注していて、ノーマークだったヨーロッパにおいては勢いの低迷が顕著だったのです。
そのような状況のもと、ホンダは欧州での再興を賭け、ナナハンを超えるCBの開発を決意。
そうして1978年にリリースされたのが、1000ccの『CBX』でした。
![▲CBX〈画像引用元:MC NEWS〉](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/rotti/article/01812033/image-1718985375254.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
(『CBX1000』と呼ばれることが多いですが、正式名称は『CBX』です)
ちなみに、車名の「X」は“究極”を意味しており、『CBX』で“究極のCB”ということを表しています。
そんなCBXの特徴はなんと言っても、並列6気筒エンジンを搭載していたこと。
ホンダはCB750FOURのリリース時にも4気筒エンジンで世界を驚愕させたわけですが、約10年後にはさらにシリンダーを2つ増やして再び世界の度肝を抜いたのです。
CBXに搭載された6気筒エンジンは見た目にもインパクト抜群で、エンジンが左右へ大きく飛び出していることが分かります。
現在の目からすると巨大なエンジンという印象を受けますが、実はこれでも、軽量コンパクト化が最大限になされたほうでした。
実はこのエンジンは、開発中はもっと大きくて重かったのです。
(CBXは乾燥重量が247kgですが、6気筒エンジンの開発初期段階では、エンジン単体の重さだけで200kg以上あったといわれています)
![▲ホンダが渾身の力で作ったCBXだったが、その努力に見合う結果は得られなかった〈画像引用元:Classic Motorbikes〉](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/rotti/article/01812033/image-1718985484071.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
ホンダのエンジニアたちはヨーロピアンライダーが喜ぶ6気筒スポーツを作ろうと軽量化・小型化に専念し、なんとかCBXの車重を4気筒マシンと同等の250kg以下に収めることができました。
しかしながら、その苦労が案の定販売価格へ跳ね返って高額化してしまい、CBXはエンジニアたちの努力も虚しく芳しい売れ行きを見せることはありませんでした。
結局、ホンダはCBXの位置付けをスポーツモデルからツーリングモデルへと切り替え、デビュー4年目の81年からは大型カウルを取り付けて発売するようになり、82年に生産を終えてしまいました。
商売としては決して「上手くいった」とはいえないCBX。
とはいえ、ハイメカな6気筒エンジンを市販車へ投入したホンダの挑戦は、充分称賛に値するものだったといって差し支えないでしょう。