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藤井聡太竜王「定位置」8割復帰! 徳田拳士四段、15連勝で服部慎一郎四段に並ぶ 将棋界成績ランキング

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 2022年度の将棋界もそろそろ前半戦が終わります。成績ランキングは若手が多く上位を占めています。

藤井聡太竜王、年度勝率8割復帰!

 藤井聡太竜王(20歳)は年齢的には「若手」です。しかし一般的な若手と違い、すでに五冠を保持する将棋界の覇者。対戦相手はほとんどがトップクラスです。それでもなお、通算勝率が依然8割を超えているのが信じられないところ。年度勝率も「定位置」の8割に浮上しました。

勝ちまくる令和の忍者、服部慎一郎四段

 さて、将棋界の最新トピックといえば、第5回ABEMAトーナメント(準公式戦)です。9月24日におこなわれた決勝戦ではチーム稲葉が5勝1敗でチーム斎藤を降し、優勝を飾りました。

 そのチーム稲葉のメンバーとして優勝し「大会MVP」とでもいうべき大活躍を見せたのが服部慎一郎四段(23)です。

 過去のABEMAトーナメントで「3連投3連勝」を達成したのは中村太地七段(2021年、チーム羽生)だけでした。そして今回、服部四段は予選と本戦決勝で2回も「3連投3連勝」を成し遂げています。

 服部四段に関しては「なぜこれだけ強いのにまだ四段なのか」という感があります。現在の公式戦通算成績は97勝30敗(勝率0.764)。あと3勝で五段に昇段します。

 服部四段の年度成績は33局戦って26勝7敗(勝率0.788)。対局数、勝数、連勝(15)の3部門でトップに立っています。

 服部四段はこの先、新人王戦決勝三番勝負で黒田尭之五段と優勝を争います。

 また渡辺明名人ら名だたる強豪がひしめく王将戦リーグなど、重要な対局が続いていきます。

徳田四段、勝率9割超え&連勝1位タイ!

 服部四段の15連勝に追いついたのが今年4月デビューのルーキー、徳田拳士四段(24歳)です。今年度成績はここまで18勝1敗(勝率0.947)。ダントツの勝率1位で、破竹の快進撃中です。

 徳田四段は9月28日、16連勝目をかけ、大石直嗣七段と対戦します。

 また10月には加古川青流戦決勝三番勝負で齊藤優希三段と優勝を争います。

大器・伊藤匠五段、ブレイクなるか?

 昨年度は勝率8割を超え、あの藤井聡太竜王を抑えて勝率部門で1位だった伊藤匠五段(19歳)。今年度はここまで21勝7敗(勝率0.750)です。

 棋王戦ではベスト4に勝ち進んでいる伊藤五段。次の羽生善治九段戦は大注目の一番です。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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