極寒の「南極」に極楽の露天風呂があった! 軽自動車で世界一周中の夫婦が入浴した世界の温泉
2005年から移住先を探して世界中を旅している夫婦がいる。なんと、軽自動車で車中泊をしながら! 訪問した地域は120数カ国に及ぶという石澤義裕さんに、旅の途中で入浴した世界の温泉について聞いた。
――世界一周の旅の中で印象的だった温泉を教えてください。
石澤:まずは南極の露天風呂ですね。
――えっ、南極にも温泉があるんですか? 知らなかったです。
石澤: ゴムボートで南極の島に上陸して、砂浜をスコップで掘ると、5分とたたずに温かい湯が湧き出てくるんです。
――北海道の屈斜路湖も砂浜を掘ると温泉が出てきますが、まさか南極にもあるとはびっくりです。
石澤:ただ、ちょっとぬるいんです。たぶん40度以下だったと思います。そのまま入ると寒くて風邪をひきそうなので、海でひと泳ぎしてから入ります。
――ん? どういうことですか?
石澤:南極の冷たい海で泳いでカラダを十分に冷やすんです。ああ、もうダメ、死ぬってくらい凍えたら、陸にあがって湯に入る。そうすると、温かくて、極楽です。
――地獄からの極楽……マッチポンプな入浴法ですね。
石澤:みんなそうやって入っていました。これが南極温泉を楽しむコツです。
――ほかには変わった温泉はありましたか?
石澤:コロンビアで入った泥温泉もインパクトがありました。
――今度は泥ですか?
石澤:トトゥモ火山といって、火山に似た形をした高さ20メートルの泥の山です。山頂は10畳ぐらい。真ん中にお風呂がありますが、お湯ではなくて泥なんです。100%、天然の泥。
――入り心地はいかがでしたか?
石澤:ぬるくて、ぬるぬるして気持ちいいです。泥の豊富なミネラルが、毛穴の奥まで染み込んで、お肌が若返った気がします。それよりもとても不思議な体験をしました。実は、泥のお風呂は「底なし沼」なんです。でもなぜか、死海(中東の塩湖)のように体が浮くんですね。だから、底なし沼なのに沈まない。不思議じゃないですか?
――楽しそう……
石澤:ただ、泥を落とすのがちょっと大変で。歩いて行ける距離に湖があって、そこで泥を落とします。そこに「泥落とし屋さん」がいて体を洗ってくれるのはいいんですが、「そこは、自分で洗うから!」みたいなことがありました。
――大事なところは自分で洗いたいですよね。それにしても、世界にはアトラクションみたいな温泉があるんですね。
石澤:メキシコの田舎にも「アトラクション温泉」がありました。あまりに田舎だったので、パトカーをヒッチハイクして行きました。
――パトカーを!? それはアトラクションじゃないですよね。
石澤:ええ。自力ではたどり着ける自信がなかったので。そこは巨大な温泉プールのある遊園地で、敷地内のコテージに泊まります。
――遊園地なら本物のアトラクションですね。
石澤:一番人気は、天然の間欠泉の蒸気です。蒸気の出口に蓋をして、狭めた穴から噴き出る仕組みになっています。吹っ飛びそうなくらいの迫力です。いつか死人が出るんじゃないかって思います。
――熱そうですね。
石澤:熱くはないんです。けど、蒸気の勢いで呼吸できなかったです。おそらく毛穴の汚れがぜんぶ吹っ飛びました。
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石澤:楽園(移住先)を探して、軽自動車とともに南アフリカを目指す旅の記録です。移住先の候補地は見つけたのですが、コロナ禍やウクライナ侵略に見舞われていまだ日本に帰れません。旅が終わらないのです。早く戦争終わってくれ!
石澤義裕
札幌市出身。2005年より、妻Yukoと移住先を探して世界一周中。スクーターや車で旅をするオーバーランダー。海外放浪リモートワーカー歴18年のデザイナー。2015年より、軽自動車で地球横断中。訪問した地域は120数カ国。海外キャンピング・車中泊は、50カ国以上。海外でのスクーター、車の走行距離20万キロ以上。海外に古い家を買って、リノベしながら住みたい。
ブログ「旅々、沈々」、Twitter「Yuko@軽自動車で南アフリカへ行こう。」で旅の模様を発信中。