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英国の労働党幹部、EUサミットから“凱旋”帰国したキャメロン首相を痛烈批判

増谷栄一The US-Euro Economic File代表
労働党のD・ミリバンド元外相(中央)、EUサミットめぐりキャメロン首相を批判

英国の野党第1党の労働党は2015年の総選挙を控え、欧州連合(EU)長期予算(2014-2020年)の支出削減を勝ち取り、“凱旋”帰国したばかりの与党保守党のデービッド・キャメロン首相に対する批判を開始した。キャメロン首相は総選挙後の2015-2017年にEU離脱の是非を問う国民投票を約束しているだけに、EU離脱問題は総選挙の争点となるのは必至だ。

キャメロン政権のEU離脱批判の急先鋒に立つ労働党のデイビッド・ミリバンド元外相は2月11日に、ロンドン市内のギルドホールで開かれた英国財界のEU改革推進組織BNE主催の討論会で、「(キャメロン政権はEU長期支出計画の)交渉の最後にEU離脱を持ち出して脅しをかけた。英国は欧州議会に銃口を向けたつもりでいるとすれば、それは全くの間違いだ。銃口は自分の頭に向けられている」と痛烈に批判した。その上で、「我々は銃の引き金を引くほど愚かではない。それ(EU離脱)を阻止する」」とEU脱退は自分の首を絞めるのと同じだと警告している。

ギルドホールの会場は400人くらいの聴衆で埋め尽くされ、ミリバンド元外相のほか、同じ労働党のリアム・フォックス元国防相、ロイター通信のヒューゴ・ディクソン編集主幹、英国のコンサルティング会社ヨーロピアン・エコノミクスのアンドリュー・リリコ氏が出席し、討論会を行った。労働党のフォックス元国防相も「EU内にとどまることは英国の国益だ。国際間の貿易交渉や欧州単一市場など英国にとってメリットは大きい」と述べ、キャメロン政権のEU離脱に反論している。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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