Yahoo!ニュース

思わず自分の目を疑ったAppleの新型『iPad mini(2019)』の購買ガイド

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
突如、販売開始のiPad mini  出典:Appleウェブサイト

KNNポール神田です。

2019年3月18日(月)、突如として、Appleのウェブサイトで、iPad Air と iPad mini が発売開始となった。

□アップルは(2019年)3月18日(現地時間)、7.9インチタブレット「iPad mini」の新モデルを発表しました。Apple Pencilに対応し、プロセッサをA12 Bionicに刷新したのが特徴です。

□価格はWi-Fiモデルの場合、64GBが4万5800円(税別、以下同)、256GBが6万2800円。セルラーモデルの場合、64GBが6万800円、256GBが7万7800円。

□本体サイズは203.2 x 134.8 x 6.1mm、重さはWi-Fiモデルが約300.5g、セルラーモデルが308.2g

出典:新iPad miniついに登場。Apple Pencil対応、4万5800円で30日出荷 3年半ぶり新モデル

Apple iPad mini ウェブサイト

https://www.apple.com/jp/ipad-mini/

iPad mini4の販売から、すでに3年半もの経過…。iPad Airと共に『遅すぎる復活』に、思わず自分の目を疑った…。

今月、2019年3月25日に『サブスクリプションサービス』に関する発表があるが、こちらでiPad miniをリリースする理由はまったく見えてこない。しかし、リークされ、漏れ伝える情報では、iPad mini に関する情報が信憑性を増している。

しかし、何度となく、iPad mini 5の登場に期待してはガックリとしてきた側としての最善の対応策は、iPad miniに『期待しない』ことだった。ついに、その喪失感を得ないで良い日が訪れたのだ。

Appleの抱える最大の問題点

iPad mini2 を長年使い続けてきた。iPad mini 3 の時には触手が動かなかった。iPad mini4 を買いかけたが、iPad mini2でそれほど不便を感じなかった。その後、今さらiPad mini4を買うわけにもいかず、『Huawei M5』を投入したが、一ヶ月後には、『メルカリ』でドナドナした。やはり、iPad miniのサイズでiOSでの操舵感が欲しかったのが理由だ…。そう、筆者のような人は決して少なくない…。

Appleの抱える最大の問題点は、Apple製品の『買い控え症候群』だ。そう、Appleの旧型製品でもまったく不都合を感じないのだ。iPhoneも現在『7』で不都合を感じることがない。熱烈なAppleユーザーだったが、近年のアップデートの機能を、筆者はまったく必要としていない。すでに、Appleは『SONY化』しているとさえ感じている。『SONY化』とは企業がオトナになったという意味である。

今回の、iPad mini の発表は唐突なようだが、綿密なる供給プランで物量が保てたからであろう。先にリリースするのはとても簡単だ。リリースをしてから、需要を見込んで、3ヶ月後に販売というラインであればまったく製品に無駄がない。しかし、このような発表と同時に最短で12日後にエンドユーザーに届けるなんてことは、製造業では、本当は『神業』に近いのだ。数百万部売れる雑誌の入稿のほうがスケジュール的には厳しいほどだ。むしろ、映像のサブスクリプションサービスをいつでも手軽に…と考えれば、iPad mini の7.9インチ 308.2グラム(セルラー版)は、出かける時に、常に持ち歩ける最大サイズだと思う。それを先に出し、ユーザーの手元に届けておけば、サブスクリプションサービスのテストトライくらいは参加することだろう。そして、3月25日の発表の時間はすべて『サブスクリプションサービス』にフォーカスすることができる。『iPad mini』を同時に発表すると、『サブスクリプションサービス』リリース効果が薄れてしまうのを懸念したものだと筆者は予想する。

世界最高のサプライチェーン企業としてのApple

ティム・クックCEOは、適切なタイミングで、何億という物量の管理ができるサプライチェーンの神のような経営者だ。Appleに採用されたパーツのコストは地球で最も安く製造される。量のパワーによるものだ。しかも、製造業でありながらも利益が25%も残せる企業である。時価総額は常にトップ。成熟したスマートフォン、PCの流れの中で、クラウド事業やプラットフォーム事業をも成立させてきた。

なんといっても、Appleの最大の強みは、CPUからハードウェア、ソフトウェア、プラットフォーム、サブスクリプションとすべて、一気通貫の自前であるというところだ。スマートフォンの販売シェアがSamsungやHUAWEIに奪われたとしても、単一機種での販売量と稼働OSとしての多さでは今でも健在だ。

ただ、近年の『フォルダブルのスマートフォン』に代表されるように、Appleからは革新的な製品の発表は見られない。Appleの革新的な製品は『Apple WATCH』と『AirPods』で止まってしまっているように見える。さらに、中国市場が風邪をひくと、Appleの経営に翳りがとメディアは評価するが、それは『株価』における翳りであり、実際には潤沢なキャッシュを持つAppleとしては右肩上がりでなくても、経営的には安泰だ。何億何千という部品を調達して、作り上げる、歴史上最大のサプライチェーン企業としては、新製品で、もう冒険はできない。バッテリーの交換プログラムだけでも相当な処理だったからだ。しかも、このおかげで旧型製品を使い続けられてしまうというデメリットも生んだ。

新製品iPad miniの謎

今回の『iPad mini』は最新のCPU『A12 Bionicチップ』と、そして、第一世代の『Apple Pencil対応』である。

iPad mini4 が『A8』チップだったことを考えると、想像以上のサクサクは当然であり、7.9インチの片手で持てるサイズで、『Apple Pencil対応』というのは、持ち歩いたままメモできるということを意味する。しかし、『Apple Pencil』が『ミニ』ではないので、取り回しは結構、長尺すぎる。液晶画面の縦サイズをペンが占めるからだ。しかも第二世代の『Apple Pencil』ではないので、本体にマグネット接着させることもできない。7.9インチのRatina液晶画面だけれでも、ベゼルの枠の太さは新しさを感じない。

液晶画面の縦長サイズのApple Pencil 出典:Appleウェブサイト
液晶画面の縦長サイズのApple Pencil 出典:Appleウェブサイト

さらに、ライトニングケーブル、Touch ID 、イヤフォンジャックを採用し、最新のラインナップから旧型のレガシーを復活させている。これは旧型レガシーを製造するラインを維持するという経営判断でもあろう。果たして、そのメリットはどこにあるのか?ティム・クックとしては、今までの製造ラインの条件のままで、少しだけ進化させた『iPad mini』や『iPad Air』はiPadを買わなかった層や、筆者のような買い替え需要を考えてのことだろう。しかし、今回のiPad mini とiPad Airの投入で、AppleのiPadは、4モデルに5サイズという選択肢でHUAWEIシリーズ並の複雑なラインナップになってしまった。

4モデル5サイズのiPad 出典:Appleウェブサイト
4モデル5サイズのiPad 出典:Appleウェブサイト

https://www.apple.com/jp/ipad/

iPad miniはどれを買う?二次流通を考えて購入する

iPad miniは256GBを買う 出典:Appleウェブサイト
iPad miniは256GBを買う 出典:Appleウェブサイト

iPad Air が欲しい人はこちらの秀逸な記事を参考にしていただいて、iPad miniのセレクトを考えてみた。

Apple製品の価値は二次流通での価値を考えて購買すべきだ。Apple製品のブランドは二次流通での値崩れが少ないことでもある。

『色』は、二次流通を考えて選ぶべきだ。すでに『ゴールド』は高級感を表す色ではないし、男性のニーズは少ない。なので、『シルバー』か『スペースグレー』だろう。『スペースグレイ』の黒ベゼルは他のAndroid端末でも多いので、あえてここはAppleらしい白ベゼルの『シルバー』を選択した。『シルバー』や『スペースグレイ』といっても、背面カラーは、ケースにいれて使ったりするので、前面の見える色で選ぶべきだと思う。

『容量』は『256GB』を選ぼう!。ビデオ編集などが可能になるからだ。惜しむらくは、iPad miniでのビデオ撮影は4K撮影ではないことが残念だ…1080p HDビデオ撮影だ。そして、『64GB』との容量差は、実質1万7,000円だ。64GBだと、映画を持ち歩くことやアプリを考えるとサイズが厳しくなるだろう。何よりも、この値段の差は二次流通の価格に反映されるので、256GBへ投資しておいたほうが損がないだろう。されど、1万7,000円の差は、大きい。しかし、現在、Appleでは金利0%のローンを用意している。

セルラー版にすると7万7800円だ。消費税を入れると8万4,024円となる。セルラーにする理由は、Wi-Fi版よりもApple直の場合は最初からSIMロックフリーであること。iPadの場合は海外SIMが使えてしまうことが多いが、SIMロックフリーは、二次流通でも高値となる。しかしWi-FiモデルでもiPhoneからテザリングすればよいので、セルラー版は決してマストではない。

購入価格は、基本的に12ヶ月で償却を考えると、一ヶ月あたり8,000円。24ヶ月間では、3,500円。もちろんこれは、金利0%ローンで仮想の『サブスクリプション』として購買することも可能だ。

2年以内の使用を考えてサブスクリプション感覚でiPad miniの購買選択はありだろう。2年以内であれば、二次流通でも、半値以下になることがないのもApple製品の魅力だ。二次流通で半額で販売するとしたら…、つまり一年以内であれば実質、月額4,000円、2年以内ならば、月額1,750円でiPad miniが使えるということだ。

この買い方が、奥さんへの『説得材料』になることを祈る!

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

神田敏晶の最近の記事