アメリカ海軍が150kW級レーザー砲の試験射撃に成功
5月22日のアメリカ海軍太平洋艦隊発表によると、5月16日にドック揚陸艦「ポートランド」に試験搭載されていた海軍研究局(ONR)のレーザー兵器システム実証試験機「LWSD Mk2 Mod0」がドローンに対する試射を行い、撃墜に成功したことを報告しました。場所は明言されていませんが太平洋とのみ伝えられています。
USS Portland Conducts Laser Weapon System Demonstrator Test - US Navy
※このレーザーの波長は可視光ではないので本来は人間の眼には見えず、観測できるようにフィルターを通して撮影されてあります。
- アメリカ海軍協会(USNI)よりLWSDレーザー試験射撃
LWSDはノースロップ・グラマン社が開発した150kWの半導体レーザー砲で、ソリッドステートレーザー技術成熟(SSL-TM)という計画で開発されました。小型ドローンだけでなく大型ドローンや対艦ミサイル、小型ボートなどを破壊可能な出力です。ソリッドステートとは固体状態を意味し、今では半導体を指す別名となっています。
アメリカ海軍は1960年代から指向性エネルギー兵器(DEW)を研究してきましたが、これまで揚陸艦ポンスに試験搭載されていたレーザー砲LaWS(出力30kW)と比べて揚陸艦ポートランド搭載のレーザー砲LWSD(出力150kW)は飛躍的に出力が大きくなり、遂に対艦ミサイルの撃墜が可能なものとなりました。開発が進めば近接防御兵器(CIWS)として採用され、機関砲の代わりとして使えるようになるでしょう。
Report on Navy Laser, Railgun and Gun-Launched Guided Projectiles - UNSI
2020年4月2日のアメリカ議会への報告書には、国防総省はレーザー砲による対艦ミサイルの実用的な迎撃には300kWの出力が必要と見ているとあります。LWSDの出力をあと2倍に強化すればCIWSとして実用化が可能となる見込みです。
※ドック揚陸艦ポートランドに装着する前のレーザー砲。
※左の丸いものがレーザー砲。ドック揚陸艦ポートランド、2020年4月28日の撮影時。