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1イニングに4奪三振と4失点は、どっちが実力どおり!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
タイラー・グラスナウ(タンパベイ・レイズ)Apr 17, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月23日、タイラー・グラスナウ(タンパベイ・レイズ)は、初回に4三振を奪った。けれども、このイニングを終わらせるまでに、4点を取られた。

 先頭打者から順に、三振、三振で2アウト。ヒットと二塁打で1失点に続き、四球とホームランで3失点(計4失点)。その後、ヒット、三振&ワイルド・ピッチ(振り逃げ)、三振で3アウトとなった。

 1イニング4奪三振は、これまでに90人以上が記録している。ただ、イライアス・スポーツ・ビューローによると、1イニングに4三振を奪って4失点以上は、1902年7月21日のドク・ホワイト(5回裏に4奪三振と4失点)以来。グラスナウが2人目だという。

 過去5シーズン、グラスナウの初回防御率は、2016年が6.75、2017年が8.31、2018年が10.12、2019年が2.25、2020年は4.91だった。いずれも、シーズン防御率より高い。2019年(12登板)のシーズン防御率は1.78だ。

 一方、2018年以降のシーズン奪三振率は、4年続けて10.95以上。昨シーズンは、14.28を記録した。

 1イニングに4奪三振と4失点は、前者が現在の実力だろう。黒星こそ喫したものの、グラスナウは、その後の5イニングで6三振を奪い(計10奪三振)、失点はホームランによる1点にとどめた(計5失点)。この日を含め、今シーズンは5登板で計30.2イニングを投げ、奪三振は46を数える。防御率は2.05だ。最初の4登板の失点は、2登板目の1回裏と4登板目の2回裏の1点ずつしかなかった。

 3年前の夏、レイズはエースのクリス・アーチャーと交換に、ピッツバーグ・パイレーツからグラスナウらを獲得した。昨年12月には、新たなエースとなったブレイク・スネル――アーチャーの移籍から数ヵ月後にサイ・ヤング賞を受賞した――をサンディエゴ・パドレスへ放出した。そして、今シーズンは、スネルの次のエースとして、グラスナウがブレイクしつつある。

 その要因の一つは、球種にあるようだ。今シーズンのグラスナウは、それまでの主要2球種、90マイル台後半の4シーム(速球)と80マイル台前半のカーブに、80マイル台後半のスライダーを加えている。

 アーチャーとスネルに続き、グラスナウも「エースのトレード放出は、この球団のお約束。先代の3人に続いて4人目もそうなる?」で書いたように放出されるのかもしれないが、そうだとしても、今夏ではないだろう。ちなみに、グラスナウがFAになるのは、2023年のシーズン終了後だ。

 なお、アーチャーは今年2月にレイズへ戻ってきたが、1年650万ドルの契約からわかるとおり、エースとしてレイズに迎えられたわけではない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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