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目下8連敗中のエンジェルスは弱いのか?それとも強いのか?試金石になりそうな強豪2チームとの交流戦

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
ジョー・マドン監督は現状を打開できるだろうか?(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【ヤンキース戦にも勝てず8連敗を喫したエンジェルス】

 ブルージェイズに続きヤンキース相手にもカード全敗を喫し、エンジェルスの連敗が8まで延びてしまった。

 5月16日時点でアストロズと並び地区首位につけていたのに、そこからわずか半月で一気に6.5ゲーム差まで引き離されてしまった。

 8年ぶりのポストシーズン出場を目指すチームとしても、一刻も早く現在の流れを断ち切りたいところだろう。

【悪循環から抜け出せないエンジェルス投手陣】

 だが現在のチーム事情は決して楽観視できない。

 前回本欄で公開した記事で、開幕から好調だった先発投手陣に陰りが出てきたことを指摘させてもらったが、ここに来て状況はさらに深刻になっているように見える。

 現在進行中の8連敗を見てみると、先発投手が5イニング以上投げた試合はわずか3試合のみ。しかもこの日のヤンキースのダブルヘッダーを含め直近の4試合ではパトリック・サンドバル投手(3.0イニング)、ノア・シンダーガード投手(2.1イニング)、大谷翔平選手(4回途中3.0イニング)、リード・デトマーズ投手(5回途中4.1イニング)と、好調を支えていた先発投手たちが総崩れしているのだ。

 ただ今日のヤンキース戦の第2試合に先発したデトマーズ投手に関しては、球数の関係で5回途中での降板となったようだが、ヤンキース打線を無失点に抑えており、内容的には申し分なかった。

 しかし先発投手陣の早期降板が続けば、その分中継ぎ投手陣に負担がかかることになる。この8連敗中も半分の4試合で、7イニング終了時点でリードもしくは同点で迎える展開に持ち込んでいるのに、中継ぎ陣が打たれ敗れているのだ。

 まさに悪循環というしかないだろう。

【勝率5割以上のチームに大きく負け越している意味】

 ただし投手陣が不調になったからエンジェルスが勝てなくなったと結論づけるのはやや早計な気がする。そもそも今シーズンのエンジェルスは本当に強くなっていたのかという疑問があるからだ。

 というのも、これまでエンジェルスが対戦してきたチームとそのスケジュールを見てみると、ある傾向が垣間見られるのだ。

 今シーズンのここまでMLB全体の傾向は、強豪チームはとことん強く順当に勝ち星を伸ばしていく一方で、それ以外のチームは一進一退を続けているということだ。それを裏づけるかのように、6月2日時点の勝敗表を見ても、勝率5割以上のチームはエンジェルスを含め12チームしか存在していない。

 そしてエンジェルスはここまで12チームと対戦し、勝率5割以上のチームとの対戦は4チームしかなく、しかもその成績は5勝12敗と大きく負け越しているのだ。

 現在の8連敗も、ブルージェイズとヤンキースのカード全敗が影響しているからだ。

 それはつまり、ここまでエンジェルスが勝率5割以上をキープできているのは、勝率5割未満のチーム相手に勝利してきたからに他ならない。

【メッツ、ドジャースとの対戦を控える6月前半が試金石】

 このまま勝率5割以上のチームに大きく負け越しているようでは、やはり地区首位やポストシーズンを争うのは厳しくなってくる。何とかそうしたチームとの互角の戦いを演じていくしかない。

 6月は前半で、10~12日のメッツ戦、14~15日のドジャース戦という交流試合を控えており、この2カードの戦い方が今後のエンジェルスを占う試金石になりそうだ。

 果たしてエンジェルスは本当に強いのだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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