アニメ「カードキャプターさくら」のコラボ子供服 なぜオンワード樫山が制作?
人気アニメ「カードキャプターさくら」とコラボをした子供服が、アパレル大手オンワード樫山のレディースブランド「any FAM(エニィ ファム)」から先月に発売され、ネットで話題になるとともに、すぐ売り切れました。同作を知らずとも普通に売れそうなデザインであること。そして数多くあるアニメ作品の中から、同作を選んだのでしょうか。
「カードキャプターさくら」は、創作集団「CLAMP」のマンガが原作で、NHKでアニメ化もされました。元気な少女の木之本桜が、この世に災いをもたらすという魔法のカード「クロウカード」を回収するため、「カードキャプター」として奮闘する……という物語。原作の累計発行部数は2200万部を突破しています。
今回のコラボ子供服の狙いについて、「any FAM」を展開するオンワード樫山のブランド担当者に話を聞きました。
ーーコラボ子供服の企画の経緯を教えてください。
「カードキャプターさくら」は2023年にTVアニメ放映開始25周年迎え、「さくらちゃんは永遠のあこがれ」という気持ちのファンも多い作品と存じております。コラボ服を企画したのは当時アニメを観ていた世代が今ママ世代になっていて、「幼少期あこがれたさくらちゃんの服をお子様に着せたい」という需要があるのではないかと思い今回の企画にいたりました。加えて、弊社の企画内にも当時アニメ視聴していて「さくらちゃん」が大好きなデザイナーがおり、そのデザイナーの「いつかコラボしたい」という熱い後押しもあって、実現いたしました。
ーー今回の子供服は、同作を知らない人が見ても関心を持ちそうですが、ポイントは?
「カードキャプターさくら」の世界観自体がとても可愛いものですので、アニメのデザインやイメージを再現できるように意識した上で、あくまでも子供服なので日常着として着ても着用に違和感がないようにしました。特に好評いただいているなりきりワンピースもお子様が着たいと思ってもらえるような可愛さや着心地を意識しております。
ーー今回の商品コンセプト、ターゲットの客層を教えてください。
「any FAM」は子供服だけでなく婦人服も展開しており「しあわせな明日のための服」をコンセプトに、着るだけで毎日がちょっと特別になるようなママとキッズのファッションアイテムを展開しております。今回のコラボ企画は当時「カードキャプターさくら」を見て、さくらちゃんに憧れていたママ世代をターゲットにしています。お子様の着用を通じて当時の懐かしい気持ちを思い出し、作中に登場する(さくらの親友)知世ちゃんのように動画や写真を撮ったり、親子で楽しんでいただけきたいということを商品のコンセプトにしました。
ーーアニメやマンガ、ゲームとのコラボ企画をしたものがあれば、教えてください。
ゲームはないですが、アニメ・マンガでいうと、「ディズニープリンセス」「アナと雪の女王」「マイリトルポニー」「うっかりペネロペ」「くまのがっこう」「PEANUTS」「リサとガスパール」とコラボした子供服を以前販売したことがあります。
ーー今回のコラボ服でこだわった点は。
お子様にも着たいと思ってもらわないと意味がないので、各アイテムの着心地や普段使いのしやすさにこだわりました。
なりきりワンピースは、さくらちゃんが通う友枝小学校の制服とオープニング衣装の2型展開です。制服は身頃部分を子どもが着やすいカットソー素材を採用し、あえて1枚でコーディネートが完成するワンピース仕様にすることでお着替えのしやすさを意識しました。ピンクのオープニング衣装は首元が苦しくならないよう丸襟にアレンジにさせていただき、背中はスナップボタン空きで着脱のしやすさにこだわりました。どちらのワンピースもなるべくアニメのデザインを忠実に再現しつつ、共通してウエストゴム仕様やポケット付きでお子様の着やすさに配慮しています。さくらちゃんがいつも身に着けている「封印の鍵」と「星の鍵」をモチーフにしたネックレスTシャツは、綿100%でお子様の肌に優しい生地を使用しています。
ーー今回の企画の反響は。
発売後SNS中心に話題になったこともあり、とても反響がありました。
店舗では発売数日でほとんど売り切れ、ECサイトも発売当日にすべて完売となりました。弊社の店舗、SNSアカウントなど各所にたくさんお問い合わせを頂き、発売数日は嬉しい悲鳴状態でした。その中で、即完売となり買えなかったお客様も多くいらっしゃったというお声も多数いただいた為、完売した当日中に社内で再販売を検討し、スピード感をもって予約での再販売を決定いたしました。お客様からサイズ拡大などのご意見もいただき、実際に初回では販売していなかったサイズも追加して予約販売を実施しました(期間:3月6日~12日)。また今回のコラボを通じて、「any FAM」というブランドを知らなかった方にもブランドを知って頂くきっかけになり、他の商品に興味を持ってくださった方もいらっしゃりうれしく思います。
ーーちなみに……他のコンテンツでの展開は検討しているでしょうか。
他コンテンツは検討中です。お楽しみにお待ちいただけましたらうれしいです。
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本格的に作り込んでいること、また要望に応じてサイズを追加するあたり、本気度がうかがえます。着心地や普段使いの方に力点を置いているのもポイントでしょうか。
これまでオンワード樫山がコラボをした作品は、ディズニー系などの一般層に受けるコンテンツが多かったのですが、「カードキャプターさくら」は、やや色合いが違います。にもかかわらず、これだけの引き合いがあったということは、ミドル・コアなファンが多いタイプのコンテンツでも、引き合いがありそうです。
コラボ商品は特性上、コンテンツの世界観を守ることが重視されるため、使い勝手が後回しになったりすることもあります。これだけ商品の質が高いのであれば、さまざまな商品展開も可能でしょう。次はどんなコラボ企画を繰り出してくるのか、注目したいと思います。