三陸鉄道の社長さんへ。優しい2人を怒らないでください。
「優しい2人を怒らないでください。」
そう書かれた岩手県の地元紙、岩手日報の本日5日付コラムです。
私は、釜石市内の三陸鉄道トンネルに子鹿が迷い込んで列車がおくれたという話を知りました。
祖父が新聞記事を読んでくれました。
トンネルに迷い込んだ子鹿を発見した運転手さんが列車のスピードをゆるめて子鹿とぶつからないようにして無事、トンネルの外に出すことができました。
すると別の列車がまたすぐに来て、トンネルに入ったそうです。
今度の運転手さんも徐行し、トンネルの外で待っていた親鹿のところへ子鹿を返してあげたそうです。
このため2台の列車とも次の駅への到着時刻がすごく遅れました。
でも、運転手さんは心がやさしい人なんだなあとうれしくなりました。
三陸鉄道の社長さん、2人の運転士さんを怒らないでください。
私も夏休みになったら三陸鉄道に乗って釜石の方へ行ってみたいです。
なぜなら子鹿に会えるかもしれないからです。
(宮古市 11歳 小学生)
何だかほっこりするような記事ですね。
ローカル線ってよいなあ。
そう思います。
でも、ローカル線って、全国どこでもみな赤字です。
だから、輸送機関として考えるのであればバスで十分だ。
昭和の終わりからこの国はそういう考え方で、ローカル線を大切にしてきませんでした。
その結果として、日本の田舎はどうなったのでしょうか。
赤字だからバスで十分だ。
この理論は国鉄時代の赤字ローカル線のお話と同じです。
都会の満員電車で稼いだ黒字を全部田舎のローカル線に持って行っている。
そして国鉄は結果として大赤字。
だったらローカル線は廃止しろ。
当時の日本人はこういう考え方でした。
今、こういう考え方を追従するのは危険ですね。
なぜなら、ローカル線イコール田舎ですから。
「赤字だから廃止にしろ。」
そういわれて多くのローカル線が廃止になりました。
でも、赤字だ黒字だという話をするのであれば、日本の田舎はほとんど全部が赤字ですから、「田舎は要りません。」という話になってしまいます。
都会で稼いだお金をつぎ込んでいるだけなんだから。
そうなってしまうのです。
だから、そういう考え方ではなくて、田舎を大切にすることが必要だと思います。
なぜなら、田舎っていいところで、田舎は都会人にとってあこがれの場所だからです。
そしてその田舎のシンボルがローカル線です。
だから、都会の人たちは田舎にあこがれるのと同じようにローカル線にあこがれる。
これだけテレビやマスコミでローカル線の列車や車内、沿線の人々を取り上げて紹介してくれているのがその証拠です。
そして、それが田舎の価値であって、その田舎の価値を追求することで、都会人に関心を持ってもらって、田舎にいらしていただいて、お金を落としていただく。
これが今、国が唱えている観光政策ですね。
結局は都会で稼いだお金を田舎へ持ってくるという点では昭和の国鉄時代と変わりはないのですが、みんなが笑顔になるという点では大きな違いです。
日本人は進化しているんですから、我々の親の世代がやってきた失敗と一緒にされたくはありませんよね。
惜しむらくは地方紙での情報。
新聞というのは肉や魚、野菜といった生鮮食料品よりもはるかに腐りやすい商品です。
なぜなら、冷蔵庫に入れてしまっておいても翌日には使い物にならなくなりますから。
そのぐらい足の早い商品ですから、まして地方紙になると、こんなに素敵なコラム記事でもなかなか皆さんに伝わらない。
今、インターネットの時代になりましたが、こういうお仕事をさせていただいている筆者の使命として、本日はぜひ全国の皆様方に知っていただきたいと思い記事にしてみました。
ローカル線というのは人々の笑顔を乗せて走ります。
明日への夢と希望を乗せて、地域の代表選手として走るのが今の時代のローカル線だからです。
岩手県の皆様は、そのローカル線を上手に使って復興を加速させようと頑張っていらっしゃいます。
岩手県では、今、「三陸防災復興プロジェクト2019」が開催中です。
この夏休みは、ぜひ、三陸鉄道を訪ねてみてはいかがでしょうか。
楽しい笑顔が待っていますよ。
三陸鉄道の中村社長さん、素敵な情報をありがとうございました。
岩手日報さん、心温まる記事をありがとうございました。
※使用写真は筆者撮影です。