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ひとり旅は寂しくない。「やっぱりソロ温泉が最高!」である8つの理由

高橋一喜温泉ライター/編集者

ソロ温泉(ひとりでの温泉旅)に出かけたら、現地で年配女性3人組みと会話をする機会があり、話の流れでこんな言葉をかけられた。

「ひとりで寂しいわね~」

筆者は苦笑いするしかなかった。近年はひとり旅がだいぶ市民権を得ている感覚でいたが、そうでもないらしい。人によっては、やはりひとり旅はさびしく、みじめに映るようだ。

しかし、ソロ温泉の魅力にどっぷりはまってしまうと、逆に誰かといっしょに温泉に出かけることが億劫に感じてしまう。

もちろん、大事な人といっしょに出かける旅は思い出になる。旅先の感動を分かち合える相手がいるのも幸せなことである。誰かといっしょに行く温泉旅を否定するつもりはない。

それでも筆者は断然、ソロ温泉派である。あらためてソロ温泉の魅力とメリットをまとめておこう。

①行き先を自分で決められる

誰かといっしょだと、行き先は相手の意見に左右される。どうしても声が大きい人の意見が通りがちだ。私のように相手に合わせてしまいがちで、声の小さい人の意見はたいてい通らない。温泉を堪能したいのに、温泉のない観光地に出かけることになったら、それこそみじめな思いをする。みんなが相手に気を遣った結果、誰も興味のない最大公約数的な観光地に落ち着くこともよくある。ソロ温泉は人生の主導権を自分の手でしかりと握ることができる。

②自分のタイミングで出かけられる

複数人での旅は、スケジュール調整に苦労する。たいていは連休や週末に予定を合わせることになるが、かなり先の日程に落ち着くことも少なくない。「仕事が落ち着いたから明日、温泉に出かけよう」という気分のとき、フットワーク軽く動けるのはソロの強みである。

③相手に合わせる必要がない

ソロ温泉なら、旅先でどう動くかは自由だ。自分の責任で決められる。だが、いっしょに行く人がいれば、相手の希望や都合を聞かないわけにはいかない。自分は温泉に入りたいのに、相手の希望で興味のない観光スポットに付き合わされたら、どっと疲れてしまう。旅の間くらい、ふだんの人間関係から自由になって、好き放題に振る舞いたいものである。

④温泉宿で自由に過ごせる

温泉旅館に複数人で宿泊すれば、たいていは同室でずっといっしょに過ごすことになる。一人になる時間はほとんどなく、ずっと緊張を強いられる。いくら気の置けない家族や友人でも、四六時中、同じ部屋でいっしょにいれば息もつまるもの。ひとりなら誰かに気を遣う必要もなく、自由に過ごせる。好きな時間に温泉に入って、眠くなったら惰眠を貪る。「せっかく温泉に来たのだから、だらだらと過ごしたい」という願望も叶う。

⑤好きな宿泊プランを選べる

宿泊にはさまざまなプランがある。高級旅館の2食付きプランで上げ膳据え膳の贅沢な時間を過ごすのもいいし、簡素な宿で素泊まりプランを選び、温泉街の居酒屋に飛び込んで地の物に舌鼓を打つのもいい。人それぞれ自分に合った旅のスタイルがある。誰かといっしょだと、自分にとって心地よい旅のスタイルを貫くことは困難になる。

⑥自分の時間をもてる

ソロ温泉の醍醐味のひとつは、ひとりの時間をもてることだ。現代人は会社や家、SNS上で人間関係に縛られがちである。もちろん、自分ひとりだけで生きていくことはできないが、たまには人間関係のしがらみから自由になって、自分を見つめ直す時間をもつことも大切である。

⑦いつ帰るかも自由

誰かといっしょの旅だと、帰路の直前まで「せっかくだから」と現地で思い切り旅を満喫して帰ることになりがちだ。だが、ひとりなら旅を切り上げるタイミングも自由。翌日の仕事が気になるなら早々に帰路についてもいい。反対に、温泉が気に入って帰りたくないなら、延泊するという選択肢もある。

⑧最後まで愉しく旅ができる

これは個人的な経験で、万人に当てはまるとはいえないが、誰かといっしょの旅は、最終日にぎくしゃくすることが多い。慣れない土地で気疲れするせいか、メンバーの誰かがイライラし始めることがよくある。そうなると、せっかくの旅が台なしである。ひとりならそんな心配も無用だ。「家に帰るまでが遠足だ」と子どものとき先生からよく言われたが、大人の旅も家に帰るまで愉しく過ごしたい。帰り道に寄り道をしたっていいし、疲れているなら電車の中で眠りながら帰ってもいい。最後まで自由を謳歌できるのが、ソロ温泉の醍醐味である。

高橋一喜|温泉ライター

386日かけて日本一周3016湯を踏破/これまでの温泉入湯数3800超/著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)/温泉ワーケーションを実行中/2021年1月東京から札幌へ移住/InstagramnoteTwitterなどで温泉情報を発信

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3900超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『スーパーJチャンネル』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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