柴田が人生初の満塁弾!緒方も原口も…今季100試合目は花火大会《8/28 阪神ファーム》
きのう28日のウエスタン・広島戦が今季ちょうど100試合目だった阪神ファーム。15安打を放ち今季最多の11点を挙げました。11点以上は昨年9月10日のオリックス戦で20安打して13点取って以来です。しかもインパクト十分なホームランが4本、まるで晩夏の鳴尾浜花火大会のように。見に行けなくて本当に残念でしたが、電話取材と、現地の様子やコメントを教えて下さった皆様のご協力により、記事を書かせていただきます。ありがとうございます。
なんといっても柴田選手の、試合を決めた満塁ホームランを含む5打数5安打は圧巻!1番打者として4得点はグッジョブですよね。2番の緒方選手も先制タイムリーと逆転3ランの活躍なのに、影が薄いくらいで。柴田選手の満塁弾に続いてホームランを打った原口選手、今季初3安打の一二三選手も、他の試合だったら殊勲でしょう。
一二三選手の1試合3安打は昨年もなかったので、2013年7月12日の中日戦(鳴尾浜)での5打数3安打1打点以来、2年ぶりとなります。この2日後に左足骨折で離脱してしまったんですよね。7月10日のソフトバンク戦(雁の巣)でも4打数3安打3打点と絶好調だっただけに、悔やんでも悔やみきれないアクシデントでした。これをきっかけに、巻き返していってほしいですね。
なお一二三選手は、9番に入っていた横田選手に代わっての出場。横田選手は4回の守備で、先頭の鈴木将選手が放ったライトへの飛球をキャッチしたあと、顔からフェンスにぶつかってしまったそうです。かなりの衝撃があったらしく、起き上がるまで少し時間がかかったとか。首や腰なども打ったみたいだという話を聞きました。でも持ち出された担架を使うことなく、自分で歩いてベンチへ。そこで一二三選手がレフトへ入り、緒方選手がライトに回っています。
横田選手自身は「大丈夫です!」と言っていて、8回の猛攻も寮の窓から見ていたそうですよ、寂しげに。病院へ行くこともなかったのでしょう。安心しました。大きなケガにならなくて何よりです。
《ウエスタン公式戦》8月28日
阪神-広島 25回戦 (鳴尾浜)
広島 003 000 030 = 6
阪神 101 030 06X =11
◆バッテリー
【阪神】岩貞-渡辺-加藤-桑原-島本-○守屋(1勝3敗)-鶴 / 小宮山-岡崎(9回表)
【広島】小野(6回)-池ノ内(2/3回)-河内(1/3回)-●永川(2勝2敗2S)(1/3回)-佐藤(2/3回) / 中村亘-倉(8回裏)
◆本塁打 緒方4号3ラン(小野)、堂林9号3ラン(島本)、柴田2号満塁(永川)、原口4号ソロ(佐藤)
◆二塁打 緒方、柴田2、上本
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率
1]中:柴田 (5-5-4 / 0-0 / 0 / 0) .363
2]左右:緒方 (4-2-4 / 1-0 / 0 / 0) .240
〃打:原口 (1-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .218
〃捕:岡崎 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .298
3]遊:北條 (4-0-1 / 1-0 / 0 / 0) .254
4]指:ペレス (5-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .336
5]二:森越 (3-1-0 / 0-0 / 0 / 3) .300
〃打二:荒木 (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .170
6]三:陽川 (3-0-0 / 2-1 / 0 / 0) .208
7]一:西田 (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .216
8]捕:小宮山 (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .284
〃打右:中谷 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .301
9]右:横田 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .213
〃左:一二三 (3-3-1 / 0-0 / 0 / 0) .198
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)
岩貞 5回 91球 (7-3-3 / 3-0 / 2.85)
渡辺 0.1回 18球 (1-0-2 / 0-0 / 3.20)
加藤 0.2回 4球 (0-0-0 / 0-0 / 1.23)
桑原 0.1回 6球 (0-0-0 / 0-0 / 2.86)
島本 1.1回 27球 (2-2-0 / 3-2 / 5.59)
守屋 0.1回 5球 (1-0-0 / 0-0 / 4.94)
鶴 1回 15球 (0-0-1 / 0-0 / 3.03)
試合経過
1回は柴田の左前打に続き、緒方が左中間タイムリー二塁打で鮮やかに先制!3回も先頭の柴田が右翼線二塁打を放ち、緒方の一ゴロで1死三塁として北條が中犠飛。先発の岩貞は1回、2安打されるも0点に抑え、2回は三者凡退でした。ところが3回に四球とヒット、森越のエラーなどで1死満塁となり、4番・ロサリオの中犠飛、シアーホルツと美間の連続タイムリーで3失点(自責0)。逆転を許します。
5回にも1安打2四球とピンチを招きながら併殺などで無失点だった岩貞。するとその裏、途中出場の一二三が右前打、柴田は右中間二塁打で無死二、三塁とし、緒方が逆転の3ラン!これで5対3となりました。後半は小刻みな継投です。6回は二塁打と2四球で1死満塁とした渡辺に代わり、加藤が安部を投ゴロ併殺打に打ち取って無失点。
7回は桑原が1死後に森越のエラーで1人出しただけ、残りを島本がシアーホルツの空振り三振など2人で片づけました。しかし8回、続投の島本が味方エラー(なんと名手・森越が1人で3失策…)とヒットなどで1死一、三塁として堂林にレフトへの9号3ランを浴び、また逆転。島本いわく「フォークです。ちょっと落ちが甘かったですね」とのこと。2死後に守屋が登板して1安打されるも0点に抑えています。
6対5と1点リードされた8回裏、広島4人目の永川から代打・荒木と陽川が連続で四球を選び、西田の中前打で無死満塁!1代打・中谷が左飛に倒れたあと、一二三が中前へ同点タイムリー!続く柴田がライトへ2号満塁ホームラン!これで一気に10対6と引っくり返しました。永川が降板、代わった佐藤から代打の原口が4号ソロ!9回表は鶴が2死から1四球を与えたものの無失点、これで花火大会が終了です。
柴田はダブルの人生初体験!
5打数5安打で、しかも最後は試合を決めるグランドスラム!柴田選手は「5安打は野球人生で初めてです。満塁ホームランも初めて」と笑顔だったそうです。ルーキーイヤーの2009年5月、地元のヤフードーム(当時)で行われたウエスタン・ソフトバンク戦で、プロ初の4安打と大当たりだったことを思い出しました。初めて観戦されたご両親の前で打ったんですよね。それ以降も4安打は何度かありますが、今回は初の5安打、しかも5の5ってすごい!
トドメの満塁ホームランについては「エラー絡みで失点して嫌な雰囲気でしたけど、カバーできてよかったです。打ったのはカット。狙ってました!ドンピシャです」とのこと。単打が2本、二塁打が2本、そしてホームランと、あと三塁打が出ればサイクル安打でしたね。2打席目の右翼線二塁打はサードまで行けそうに見えたけど、厳しかった?「厳しかったですね。シアーホルツがもたついたのは見えたんで、行けるかなとは思いましたが」
前日もマルチヒットと調子いいですね。「1軍で打てなくて降りてきて、ちょっと悩んでいました。しっくりこなかったんですけど、きのうの試合でヒントがあったんで」。ヒント?「バットの構える位置です。練習からいろいろ試していたけど、しっくりこなくて。まっすぐに差し込まれたり」。そこで、構える位置を変えて「最短で(バットを)出せるように。ロスを無くし、ヘッドを効かせて振れるようになった」のだそうです。
開幕を1軍で迎えながら約1週間で抹消、その後は6月初旬から1ヶ月滞在して、7月初旬から遠ざかっている1軍。「上は首位にいますし、すごい試合している。チャンスを待ちます」と誓う柴田選手でした。
「これ以上」を求める緒方
緒方選手も1回に先制のタイムリー二塁打、5回には逆転の3ランで4打数2安打4打点と、MVPは確実だろうという活躍。しかし「全部、柴田さんが持っていきました!」と笑います。ほんとにねえ。持っていきましたよねえ。そのあと8回に再逆転の3ランを放った広島の堂林選手の方が、もっとガックリだったかもしれません。ホームランは「フォークかシュートだと思います。ちょっと落ちたので」と言います。
8月22日の広島戦(由宇)で3号ソロを含む2安打、同じく23日にはタイムリー三塁打など2安打、26日と27日のオリックス戦(鳴尾浜)でも1安打ずつで5試合連続安打中。5試合で18打数8安打6打点、打率.444です。「いい形に結果が出ているので、これをキープではなく、もっと上げていきたいですね。柴田さんみたいに固め打ちするとか。今のままでは印象に残らない。“これ以上”を目指します」
スタメンでの起用が増えてきましたね。「ここんとこ出続けてはいますけど、一度あかんかったら出られない。ファームでも外野は厳しい状況ですから。1軍の前に、ファームで出続けるのも大変という」。確かに。なお「バッティングに関して、変えたことは一切ないんです」という緒方選手。「ヒットを打っていない時も感じはよかったので。いい当たりがアウトになっていたけど、今はいい当たりが間を抜けたり、上を越えたりしていますね」とのこと。
やはり何としても早く1軍へ、との思いは強く「ケガしてグラウンドから離れない限り、チャンスはあると思っています!」とキッパリ。左年9月に右ひざを手術して、もう心配事はなくなりましたからね。その通り、チャンスはあります。
原口、運命の?ホームラン
8回に代打で出場し、柴田選手に続いてホームランを放った原口選手は、まず「柴田さんの満塁ホームラン、もう完璧!」という言葉。その満塁弾で永川投手が降板して出番が来ました。「ピッチャーが代わった時、急に言われたんですけど、その前に準備はしていたので」。8回が始まる前からもう準備を始めていたんでしょうね。視察に訪れていた坂井オーナーが8回、先頭から連続四球で無死一、二塁となったところで引き揚げるのが、ベンチ裏でバットを振っていて見えたそうです。大丈夫。見てもらえなかったけど、結果は伝わっていますよ。
「打ったのは真っすぐ。感触?よかったですよ~!」というホームランは4月30日のオリックス戦(鳴尾浜)以来。「ええー!4ヶ月ぶり?まあヒットが2ヶ月半出てなかったりしましたもんね」。打席に入ってホームランの予感とか、なかったですか?「ないですよ。きょうの場合は“流れに乗った”という感じ」。確かに、なかなか見らえない流れでした。
「でも最近、3得点とか3失点とか“3点の呪縛”ってあるの知ってます?」という原口選手。そうそう!26日のオリックス戦(鳴尾浜)で、1回と4回に阪神が3点ずつ、6回と7回にオリックスが3点ずつ、7回の阪神は1点止まりだけど勝ち越したと思ったら、9回にオリックスが3点取ったんですよね。あの時は我々も試合を見ていて「3の倍数だ」と話していました。きのうも3点入ったイニングが3回で、8回の阪神は6点。つまり…?
「だから(一二三)慎太のタイムリーと柴田さんの満塁ホームランで5点入ったあと、僕がホームランを打つことは運命づけられていたってことです」