【京都市上京区】すっぱ味がくせになる? 江戸期まで高貴な人限定だった京の漬物が販売開始になりました!
京都を代表する漬物「すぐき漬け」はかぶらの一種のすぐきを漬け込んだもの、千枚漬、しば漬けと並んで京都三大漬物と呼ばれています。2021年12月3日、上京区の北野天満宮から今出川通を西に行った処にできた「賀茂のすぐき販売所」で、今年度の「すぐき漬け」が販売開始となりました。
京都では誰もが知る「すぐき漬け」ですが、大手メーカーの流通に乗っていないことや京都の上賀茂・西賀茂地区の農家だけが漬けていることもあって、全国的にはまだあまり知られていません。かつて上賀茂神社の社家(神官たち)から、高貴な公家衆だけに配られた進物だったという「すぐき漬け」について少し紹介しますね。
京都市北区の上賀茂神社にある川の源流は貴船から流れいずるといわれます。神社を流れる奈良の小川は、現代物、時代物にかかわらず、ドラマなどのロケ地として有名です。秋などは この小川の上に覆いかぶさる紅葉の姿が絶景です。小川は境内を出ると、明神川と名をかえ南側に立ち並ぶ「社家」(上賀茂神社の神官さんたちの邸宅)の各家々へと流れ込みます。
各社家では、生活用水や水垢離などに大切に使い、その後、汚れた水は廃棄し、清らかな水だけをまた明神川に戻すという、実にエコなシステムが、平安の昔より続けられてきました。現在は20軒ほどですが、往時は、200軒、1000人の神官さんと家人らが暮らしていたといい ます。
このエコシステムを利用して、神官さんたちが、門外不出の秘蔵の品として栽培していたのが、「すぐき」であり、京都を代表する漬物となった「すぐき漬」です。すぐきはカブの 一種、起源は桃山時代にまで遡ると言われますが、皇族や公家など上流階級しか口にできない貴重な品でした。
江戸時代末期頃、上賀茂神社近くの農家でも栽培されるようになりましたが、一本たりとも他所に持ち出すことは禁じられていました。そのような中、上賀茂の地だけに「すぐき」の発酵技術が脈々と伝承されてきたのです。「すぐき」は、健康乳酸菌による発酵で生まれるコクのある酸味があって、かぶらの甘みと相まって美味しい漬物です。
すぐきが大好物で取次をするようになったという「賀茂のすぐき販売所」代表の井ノ口 敏秀さんによると、「今年もおいしく漬かりました。すぐきは乳酸発酵の自然な漬物で、健康志向の強い方からも絶大な支持を得ています。またかぶ本来の甘みがぐっとまして美味しいので当店ではなるだけ大きめの品を取り揃えています。」とのこと。
同店では、「発酵食品が注目される中、すぐきの美味しさを全国の方に知ってほしい」と通信販売(申し込みはHPから)もされています。店舗は今出川沿いののれんが目印ですぐ分かりますので寄ってみてください。
賀茂のすぐき販売所(外部リンク)
京都市上京区今出川通御前西入ル紙屋川町1015-3
電話:075-366-3213