大西洋に「シータ」発生 観測史上最多のハリケーン年に
太平洋西部では22号台風が発生していますが、大西洋では今年29号目となる「シータ(Theta)」が渦を巻いています。
太平洋の台風の個数が、大西洋のそれを下回ることは通常まずありませんが、今年は稀なことが起きてしまっているようです。大西洋で29号が発生することは、観測が始まって以来初めてのことです。
シータはどんな嵐?
シータは、ハリケーンよりも一段階弱い「トロピカルストーム」の勢力、つまり「台風」と同じ強さです。
幸い海上にとどまり、温帯低気圧に変わる見込みです。ただそのままポルトガル領のマデイラ諸島などを直撃するおそれがあります。
イータはアメリカへ
シータのひとつ前に発生した28号の「イータ(Eta)」は、日本時間12日(木)にもフロリダ北部に上陸する見込みです。
イータはとんでもなく迷惑なハリケーンで、4日(水)ニカラグアに史上最大級のクラスで上陸したのち、グアテマラで50人以上が巻き込まれる土砂災害を引き起こしました。その後キューバにも上陸して600ミリの雨を降らせ、9日(月)にフロリダ南部に上陸しました。
弱まると思いきや、メキシコ湾の温かい海上で勢力を維持し、まもなくフロリダに再上陸するもようです。
イータの上陸で、アメリカは今年12個ものハリケーンやトロピカルストームが直撃したことになります。前代未聞の上陸数です。
イオタも発生へ
今やもう11月。通常大西洋は穏やかになるこの時期ですが、まだまだ嵐が発生する兆しがあります。
現在大西洋に雲の塊が見えています。これが5日以内にトロピカルストームになる可能性が90%に高まっています。発生すれば名前は「イオタ(Iota)」となります。
ハリケーンの名前の付け方
このように現在大西洋に発生するハリケーンなどには、ギリシャ文字のアルファベットが付けられています。これは事前に用意されていたすべての名前を使い果たしてしまったからです。
本来は、マイケルやローラのような21個の人名が用意されていて、発生した順に命名されていきます。
リストは6年分あり、6年おきに同じ名前が登場するのですが、大きな被害を出したハリケーンの名前は以後使われなくなります。
ただ過去には被害が出ていなくても、意外な理由で名前が消されてしまったことがありました。
それが「アイシス(Isis)」です。
2015年「イスラム国」の略称「ISIS」を連想させ不適切であるという理由から、世界気象機関が名前を取り下げたことがあります。代ってつけられたのは「イベット(Ivette)」でした。