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【横浜市】ビール文化への情熱は続く!サッポロ黒ラベル&本格的カスクエールが飲める店/ハイバリー

krayskyライター/東京神奈川行ったり来たり(横浜市)

2024年6月にオープンした「HIGHBURY -THE CAVE OF BEER-(ハイバリー ザ・ケーブ・オブ・ビア)」 。サッポロ黒ラベル、それにイギリス伝統のカスクコンディションエールをいただくならこちらへ。

桜木町駅北改札から向かって紅葉坂の途中、音楽通りを左に入ったところにあるビアパブだ。

こだわりの貯蔵庫で実現する、イギリス伝統のカスクコンディションエール

店主の安藤耕平さんは、横浜ベイブルーイング(横浜市中区)や木内酒造(常陸野ネストビール、茨城県那珂市)を経て、2016年に新宿御苑前近くに「HIGHBURY -THE HOME OF BEER-(ハイバリー ザ・ホーム・オブ・ビア)」 をオープン。横浜店はこれに次ぐ店舗だ。

「HIGHBURY」の名前は、イングランドのサッカークラブ・アーセナルFCが本拠地としていたHighbury(Arsenal Stadium、アーセナルスタジアム)に由来する。サッカーの大ファンである安藤さんは、学生時代にイギリスまで試合を見に行っていたという。サッカーに燃やしたその情熱は、今ビールに注がれている。

店名にある「THE CAVE OF BEER」の「CAVE」とは、フランス語で「貯蔵庫」という意味。そう、この店には特別な貯蔵庫があるのだ。

貯蔵庫に並ぶビールの数々。

天井に巨大な装置が付いているのがわかるだろうか。これが冷却器。単に冷やすだけでなく、無音・無風・無振動なのだという。

さらに庫内の壁にもこだわりが。店主自ら塗ったという「呼吸する壁」!ビールにとって最上の環境を実現するために、断熱・調湿に優れた素材を探したという。

貯蔵庫にここまでこだわる理由は、店で提供するビールの種類にある。

本場イギリスでは「リアルエール」とも呼ばれる「カスクコンディションエール」(cask-conditioned ale)。醸造所から届いた後、パブ(店舗)での二次発酵を経て、提供されるビールだ。こちらの店舗では、最短でも二週間ほど貯蔵庫に置くという。適切に管理ができる設備があってこそ、リアルなカスクコンディションエールを提供できるのだ。

安藤さんは、イギリスの醸造所「Thornbridge Brewery(ソーンブリッジ・ブルワリー)」でビール造りを学んだ。自身で醸造するビールとしては「カスクコンディションエールにしか興味がない」と言い切るほど、このイギリス伝統のビールに惚れ込んでいる。

現在は主に「KUNITACHI BREWERY(クニタチブルワリー)」(国立市)との協業のもと、店のオリジナルビールを醸造している。

カスクコンディションエールの口当たりは優しい。普段ビールの炭酸が苦手、という方などはぜひ一度試してみてほしい。炭酸が弱めで、ゆっくりと味わうのにも向いている。

日によって開栓しているカスクコンディションエールは異なり、味わいも様々だ。

ビールのお供にふさわしいメニューにも、事欠かない。「炙りマッシュポテト」。

「BOUCHERE(ブーシェル)」(横浜市神奈川区)の「シャルキュトリー盛り合わせ」。

ビールの文化がこれからも続くように 復刻の錫菅から注がれるサッポロ黒ラベル 

この店の特徴はカスクコンディションエールだけではない。じつは店に入ってすぐ目に留まるタップは、サッポロ黒ラベルとエビス。

ビール界の人気者・ラガービールをどう提供するか。ここにも、店主のビールに対する熱い思いがつまっている。

タップの下には、サッポロ黒ラベルが注がれるまでの長い道のりが隠れている!なんと合計22メートルあるという、錫製の冷却管「錫菅(すずかん)」だ。

錫管は、昭和30年代まで使われていたという。その後ステンレスの製品に取って替わられ、姿を消した。ビールの伝統に並々ならぬ情熱を持つ安藤さんは、横浜店のオープンにあたり錫菅の復刻を企画した。

単に懐古趣味ということではない。高度成長期が始まるころの日本では、当時錫菅から注がれていたビールの消費量も右肩上がり。一方、近年の日本ではビール消費量が減少している。錫菅が使われていた当時のように、日本のビールを元気に、そしてこの先もビールの文化が長く続くように、という思いを込めての復刻なのだ。

横浜店をオープンする一年以上前にクラウドファンディングを実施。目標額を上回る金額を集め、実現にこぎつけた。横浜店では今日も、錫菅から注がれるサッポロ黒ラベルを味わうことができる。

店は「100年以上前からある酒場」を意識して作られている。新しい店舗でありながら、時間を積み重ねてきたかのような落ち着きのある店内だ。

カウンター上部にある、ランプシェードのようなオブジェは、ビールの醸造に使われる釜の上部を加工したもの。

店舗奥にはテーブル席。暖炉に向いたロッキングチェアでビール、という過ごし方も可能。

野毛エリアも近く、こちらで一杯飲んだあと、はしごするという向きも。営業時間は平日15時~23時、土日祝13時~23時。8月中も定休日なしで営業している(2024年8月現在)。

<店舗情報>
HIGHBURY -THE CAVE OF BEER-(ハイバリー ザ・ケーブ・オブ・ビア)
住所:横浜市中区花咲町3-99 1F
アクセス:桜木町駅北改札から徒歩3分
HIGHBURY -THE CAVE OF BEER- Instagram

ライター/東京神奈川行ったり来たり(横浜市)

東京生まれ、東京&神奈川&アメリカ大陸育ち。出版社やメーカー勤務を経て、好奇心とともに東奔西走。好きな言葉は「一石二鳥」「三つ子の魂百まで」。文化/日本語/フィクションとノンフィクション/経済的/すこやかな生活。

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